問題の本質を認識せず珍説を唱える朝日新聞
朝日新聞の社説は、ものを書くときに根拠の資料を確認しないようなズボラな人でも書けるらしい。
8月8日の朝日新聞は社説で「稲わら汚染牛 農水省の失策のツケ」と題して、食品衛生法の暫定規制値を上回る放射能汚染牛肉が日本中に流通してしまったのは全て農水省のせいだと決め付けた。つまり日本中に流通した放射能汚染稲わらの発生源である宮城県などの自治体や、畜産農家の責任には全く言及していない。
事故後の8日後に農水省が各県通知した文書に「牧草を与える場合は、事故発生前に刈り取り・保管したものだけを使う」ようとしか書かれておらず、稲わらには触れていなかったから、というのがこの社説で掲げている全責任者農水省説の根拠である。
しかし、この説は二つの点で珍説である。
まず一つ、この農水省が出した文書の現物に当たってみると、社説が唱えていることが間違いであることがわかる。
原子力発電所事故を踏まえた家畜の飼養管理について
平成23年3月19日
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/pdf/seisan_110321.pdf
確かに通知文書本文には、
乾牧草(サイレージを含む)を給与する場合は、事故の発生前に刈り取り・保管されたもののみを使用すること。さらに
(1)事故の発生時以降も屋内で保管されたものを使用すること。
(2)屋外で保管されたものはラップ等の包材により外気と遮断されたものを使用すること。これらを使用する際には、包材の外装を念のため布でふきとったり、水洗いする等してから包材を開けること。
と書いてあり、稲わらについてはふれていない。
しかし、これに添付されている農家へのPR用文書「畜産農家の皆様へ」では、
家畜に放射性物質がかかった牧草、乾草、サイレージなどの飼料を与えることがないように、
(1)事故の発生前に刈り取った飼料を使いましょう。
(2)倉庫など屋内で保管された飼料を使いましょう。
(3)屋外で保管されている飼料については、ラップ等で空気に触れない状態で保管されたものだけを使いましょう(念のため、使う前に乾草等を覆っているラップ等を布で拭いたり、水洗いしましょう。)
と書かれており、乾草(乾燥した草)についても、事故の発生前に刈り取ったものだけを使うように指導している。乾燥した草に稲わらが入らないと考える人がいるとは思えない。この文書では稲わらも含めて事故発生前に刈り取ったものだけを使うように指導していることが明白である。社説を書いた方はこの原文を読んでいないとしか思えない。
もう一つだが、仮に「畜産農家の皆様へ」が何故か農家には配られず、農家が通知本文しか見ていなかったとしても、「牧草等は空気に触れない状態で保管されたものだけを使いましょう」と指導されてるにもかかわらず、原発事故後も野ざらしで空気に触れ放題だった稲わらを「牧草では無いから飼料に使って大丈夫」と考えてしまうこと自体、常識的には考えられないということである。何故か朝日新聞の社説を書いている人はそれを常識だと考えているようである。畜産農家はそれほど知恵がないと思っているのだろうか、それなら、そもそもそれほど知恵がない畜産農家に食の安全を任せておいて不安を感じないのだろうか。
現実的に考えると、この文書を農家が見ていて「事故後に野外にあった稲わらを収拾して牛に与えても、農水省の指導には反せず、問題は無い」と考えたとは考えにくい。問題はこの文書を農家が見ていないということにあるのではないか、だとしたらそれは県に大きな責任がある。それと、畜産農家に知り合いがいたり、親が畜産農家だったりする職員を山ほど抱えているはずの農水省が、文書を農家が見ていないということに気づかなかったということにも大きな問題がある。仮に農家が見ていたとしたら、それは「農水省の指導は過剰な措置で、従わなくても問題はないはずだ」と農家が考えてしまったことに問題がある。この場合畜産農家に大きな責任があるが、農家の信頼を得ていない農水省にもかなり責任がある。
この社説のような珍説が世の中に広まってしまうと、本当の問題の所在が不明瞭になってしまう。そうなるともう一度同じことが起きるということにつながってしまう。
私は個人的んは新聞の社説ほどあてにならないものは無いと思っている。えらい人が書いているので、チェックする人がいないからである。
皆さんも社説を読むときは気をつけましょう。(そもそも私のように「どうせつまらないことしか書いていないのだから」滅多に読まないという人も多いと思うが)
8月8日の朝日新聞は社説で「稲わら汚染牛 農水省の失策のツケ」と題して、食品衛生法の暫定規制値を上回る放射能汚染牛肉が日本中に流通してしまったのは全て農水省のせいだと決め付けた。つまり日本中に流通した放射能汚染稲わらの発生源である宮城県などの自治体や、畜産農家の責任には全く言及していない。
事故後の8日後に農水省が各県通知した文書に「牧草を与える場合は、事故発生前に刈り取り・保管したものだけを使う」ようとしか書かれておらず、稲わらには触れていなかったから、というのがこの社説で掲げている全責任者農水省説の根拠である。
しかし、この説は二つの点で珍説である。
まず一つ、この農水省が出した文書の現物に当たってみると、社説が唱えていることが間違いであることがわかる。
原子力発電所事故を踏まえた家畜の飼養管理について
平成23年3月19日
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/pdf/seisan_110321.pdf
確かに通知文書本文には、
乾牧草(サイレージを含む)を給与する場合は、事故の発生前に刈り取り・保管されたもののみを使用すること。さらに
(1)事故の発生時以降も屋内で保管されたものを使用すること。
(2)屋外で保管されたものはラップ等の包材により外気と遮断されたものを使用すること。これらを使用する際には、包材の外装を念のため布でふきとったり、水洗いする等してから包材を開けること。
と書いてあり、稲わらについてはふれていない。
しかし、これに添付されている農家へのPR用文書「畜産農家の皆様へ」では、
家畜に放射性物質がかかった牧草、乾草、サイレージなどの飼料を与えることがないように、
(1)事故の発生前に刈り取った飼料を使いましょう。
(2)倉庫など屋内で保管された飼料を使いましょう。
(3)屋外で保管されている飼料については、ラップ等で空気に触れない状態で保管されたものだけを使いましょう(念のため、使う前に乾草等を覆っているラップ等を布で拭いたり、水洗いしましょう。)
と書かれており、乾草(乾燥した草)についても、事故の発生前に刈り取ったものだけを使うように指導している。乾燥した草に稲わらが入らないと考える人がいるとは思えない。この文書では稲わらも含めて事故発生前に刈り取ったものだけを使うように指導していることが明白である。社説を書いた方はこの原文を読んでいないとしか思えない。
もう一つだが、仮に「畜産農家の皆様へ」が何故か農家には配られず、農家が通知本文しか見ていなかったとしても、「牧草等は空気に触れない状態で保管されたものだけを使いましょう」と指導されてるにもかかわらず、原発事故後も野ざらしで空気に触れ放題だった稲わらを「牧草では無いから飼料に使って大丈夫」と考えてしまうこと自体、常識的には考えられないということである。何故か朝日新聞の社説を書いている人はそれを常識だと考えているようである。畜産農家はそれほど知恵がないと思っているのだろうか、それなら、そもそもそれほど知恵がない畜産農家に食の安全を任せておいて不安を感じないのだろうか。
現実的に考えると、この文書を農家が見ていて「事故後に野外にあった稲わらを収拾して牛に与えても、農水省の指導には反せず、問題は無い」と考えたとは考えにくい。問題はこの文書を農家が見ていないということにあるのではないか、だとしたらそれは県に大きな責任がある。それと、畜産農家に知り合いがいたり、親が畜産農家だったりする職員を山ほど抱えているはずの農水省が、文書を農家が見ていないということに気づかなかったということにも大きな問題がある。仮に農家が見ていたとしたら、それは「農水省の指導は過剰な措置で、従わなくても問題はないはずだ」と農家が考えてしまったことに問題がある。この場合畜産農家に大きな責任があるが、農家の信頼を得ていない農水省にもかなり責任がある。
この社説のような珍説が世の中に広まってしまうと、本当の問題の所在が不明瞭になってしまう。そうなるともう一度同じことが起きるということにつながってしまう。
私は個人的んは新聞の社説ほどあてにならないものは無いと思っている。えらい人が書いているので、チェックする人がいないからである。
皆さんも社説を読むときは気をつけましょう。(そもそも私のように「どうせつまらないことしか書いていないのだから」滅多に読まないという人も多いと思うが)
by touten2010
| 2011-08-16 01:11
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