放射能に向き合う日々

新たな検査計画

食品に含まれる放射性セシウムの基準値が4月1日から500Bq/kgから100Bq/kgに厳格化されることに伴い、食品中の放射性物質の検査についても、精密化するようにとの指示が、厚生労働省から各県に対して出されている。

・食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正について
平成24年3月12日 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000024vrg.html

この通知は恐ろしく解かり難くなおかつ何通りもの解釈ができるいい加減なペーパーであるため、これを取り上げた各新聞の記事はそれぞれ解釈が異なった記事が書かれてしまっているほどである。朝日新聞などは、公表直後の記事と3月22日に書かれた記事では、同じ新聞なのに解釈が異なっている。

文句ばっかり言っていてもらちがあかないので、私なりに、一番厳しく、つまり検査を最も精密かつ多量に行わなければならなくなる解釈を整理してみた。

それを以下に示す。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Ⅰ 品目Ⅰ群について

対象品目
・チンゲンサイ等非結球性葉菜類、カブ等その他の根菜類、タケノコ等多年生の野菜、ハーブ類等の摂取量の少ない野菜(多年生のものを含む)
・ミカン、ユズ、カボス等その他のかんきつ類、ビワ等その他の常緑果樹、カキ、モモ、ウメ、スモモ等その他の核果実、ブドウ、ベリー類、キウイフルーツ等、クリ等穀果類、イチジク等その他の落葉果樹
・原木しいたけ(露地栽培及び施設栽培)、原木なめこ(露地栽培)、原木くりたけ(露地栽培)、原木まいたけ(露地栽培)、原木ひらたけ(露地栽培)、野生きのこ類、菌床しいたけ(施設栽培)、菌床えのきたけ(施設栽培)、菌床なめこ(施設栽培)、たらのめ、わらび、ふきのとう、くさそてつ(こごみ)、ねまがりたけ、こしあぶら、おやまぼくち、やまぐり
・豚肉、イノシシその他の野生鳥獣の肉類
・大豆、ソバ
・はちみつ

1.福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県における検査
(1)当該品目から50Bq/kgを超える放射性セシウムを検出した地域及び主要な産地
  市町村ごとに3検体以上、定期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に検査。
(2)その他の市町村
  市町村ごとに1検体以上、定期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に検査。

2.青森県、岩手県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県における検査
(1)当該品目から50Bq/kgを超える放射性セシウムを検出した地域
  市町村ごとに3検体以上、定期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に検査。
(2)主要な産地
  市町村ごとに1検体以上、定期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に検査。
(3)出荷があるにもかかわらず、過去に検査実績のない地域
  原則として市町村ごとに1検体以上検査する。
  ただし、土壌中の放射性セシウム濃度及び環境モニタリングの検査結果等を勘案すれば、(市町村ごとではなく)地域の中で(限定的に)複数(の)市町村を選び、(全部の市町村ではなく)選んだ市町村(だけ)で1検体検査するということにしても良い。

Ⅱ 品目Ⅱ群について

対象品目
・ジャガイモ、サツマイモ
・リンゴ、ナシ
・菌床まいたけ(施設栽培)、もみじがさ(しどけ)、つくし
・羊肉
・小豆

1 福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県
及び
2 青森県、岩手県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県のうち、(当該品目について?)50Bq/kgを超える放射性セシウムを検

出した県において検査
(1)当該品目から50Bq/kgを超える放射性セシウムを検出した地域
  市町村ごとに3検体以上、定期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に検査。
(2)主要な産地
  市町村ごとに1検体以上、定期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に検査。

Ⅲ 品目Ⅲ群について

対象品目
 乳

(1)福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、岩手県における検査
クーラーステーション又は乳業工場(又は乳業工場に直接出荷している全ての者)単位で、原則として、概ね1週間ごとに継続的に検体を採取し検査

(2)青森県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県における検査
クーラーステーション又は乳業工場(又は乳業工場に直接出荷している全ての者)単位で、原則として、概ね1週間ごとに継続的に検体を採取し検査。
ただし、検出状況を踏まえて、検査を概ね2週間ごととしても良い。

Ⅳ 品目Ⅳ群について

対象品目
 茶

福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県において検査
主要産地において、一番茶、二番茶等、茶期ごとに原則として1回以上検査

Ⅴ 品目Ⅴ群について

対象品目
 水産物のうち以下の海洋魚種
 イカナゴ稚魚・イワシ類の稚魚、シラウオ類、イワシ類・サバ類、アジ類、ブリ類、ヒラメ、カレイ類(3群)、アイナメ、メバル・ソイ・カサゴ類(2群)、サメ・エイ

類、マダラ、スケソウダラ・ギス・アオメエソ・イシナギ類、エゾイソアイナメ、アンコウ類、ホウボウ類・ニベ・グチ類・トクビレ類、タイ類(クロダイ類除く)・マトウ

ダイ類・タチウオ、クロダイ類・ウミタナゴ、スズキ、フグ類、アナゴ類、マゴチ、イカナゴ(親)、シロギス、ギンザケ、甲殻類、貝類、ウニ類、海藻類、イカ・タコ類

福島県、宮城県、茨城県、岩手県及び千葉県において原則として週1回程度検査

沿岸性魚種等については、水揚げや漁業管理(漁業権の範囲、漁業許可の内容等)の実態等を踏まえ、対象魚種等の漁場・漁期を考慮して、県沖を適切な区域に分け、当該区域の主要水揚げ港等において検体を採取。表層(例:コウナゴ)、中層(例:スズキ、タイ)、底層(例:カレイ、アナゴ)、海藻等の生息域を考慮して、漁期ごとの主要な品目を選定

回遊性魚種(カツオ、イワシ・サバ類、サンマ、サケ等)については、回遊の状況等を考慮して、漁場を千葉県から青森県の各県沖(県境の正東線で区分)に区分して、当該区域の主要水揚げ港等において検体を採取 
 

Ⅵ 品目Ⅵ群について

対象品目
 水産物のうち以下の内水面魚種
 ワカサギ、イワナ・ヤマメ・マス類、コイ類・フナ類・ウグイ・モツゴ類・ドジョウ、ウナギ、アユ、バス類、無脊椎動物 

福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県において原則として週

1回程度検査
河川、湖沼等の漁業権の範囲等を考慮して、県域を適切な区域に分け、区域毎の主要地域において検体を採取

Ⅶ 品目Ⅶ群

対象品目
 麦類

乾燥調製貯蔵施設(カントリーエレベーター)又は保管倉庫においてロット単位※で検査を実施
※乾燥調製貯蔵施設では貯蔵サイロごと、保管倉庫では概ね300 トンを上限として農協等集荷業者ごとに麦種別に検査ロットを設定。
平成23年産麦類の検査の結果、50 Bq/kg を超える放射性セシウムが検出された県においては、全ロット検査
それ以外の県においては、地域ごと※に最初のロットを検査した結果が、50 Bq/kgを超過した場合に、全ロット検査を実施
※地域区分については、麦類の生産量及び集荷範囲、過去の検査実績、土壌中のセシウム濃度、環境モニタリング検査結果等を勘案して設定。

Ⅷ 品目Ⅷ群について

対象品目
 牛肉

1.福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、岩手県における検査
 農家ごとに3か月に1回程度検査
2.青森県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県における検査
(1)当該品目から50Bq/kgを超える放射性セシウムを検出した地域
  市町村ごとに3検体以上、定期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に検査。
(2)主要な産地
  市町村ごとに1検体以上、定期的(原則として曜日などを指定して週1回程度)に検査。
(3)出荷があるにもかかわらず、過去に検査実績のない地域
  原則として市町村ごとに1検体以上検査する。
  ただし、土壌中の放射性セシウム濃度及び環境モニタリングの検査結果等を勘案すれば、(市町村ごとではなく)地域の中で(限定的に)複数(の)市町村を選び、(全部の市町村ではなく)選んだ市町村(だけ)で1検体検査するするということにしても良い。

Ⅸ 品目Ⅸ群について

対象品目
 米

1.安全管理体制の整備等を前提に作付が認められた区域及び旧緊急時避難準備区域における検査
 地域で生産された全ての米について米袋毎に検査

2.(安全管理体制の整備等を前提に作付が認められた区域及び旧緊急時避難準備区域を除く)福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県における検査
 平成23年産米で50 Bq/kg を超える放射性セシウムが検出された農家が生産した米については、県が検討し綿密な検査を実施。
 それ以外の農家が生産した米については、地域の水稲作付面積及び平成23年産米の検査結果等に応じ県が検討し別途検査点数を設定

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この解釈でいくと、品目Ⅰ群については、非結球性野菜類(ホウレンソウ、コマツナ、チンゲンサイ等)については福島県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県においては全ての市町村において週に1回づつの検査が必要になり、青森県、岩手県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県においても、県内の主要な産地において、市町村ごとに週1回のペースで検査が必要となる。

これまでの検査計画のルールとして一番最新のもの(8月4日公表)では、「自治体(県)がその県域を適切な区域に分け、当該区域毎に複数市町村で検体を採取」となっていたため、県内数市町村で検査を行っておけばことたれりというルールとなっていたことから、新たな検査計画のルールにより、大幅に検査が増えることとなるはずである。

・食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正について 平成23年8月4日
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001lbnq.html
3 対象品目
ア 野菜類等(露地物を優先して選択)
ホウレンソウ、コマツナ等非結球性葉菜類、カブ、キャベツ、ブロッコリー、パセリ、セリ、ウメ、原木しいたけ(露地栽培)、たけのこ、くさそてつ、生茶、荒茶、製茶
イ 乳

ウ 水産物
イカナゴ稚魚、シラス、アイナメ、エゾイソアイナメ、ホッキガイ、ムラサキイガイ、キタムラサキウニ、ワカメ、アラメ、ヒジキ、ワカサギ、ヤマメ、アユ、ウグイ
エ 肉
牛肉
(その他)
米、飲用茶、牛乳、ダイコン・キャベツ・ハクサイ・タマネギ・キュウリ等の淡色野菜、ニンジン・ホウレンソウ・トマト等の緑黄色野菜、卵、豚肉、ジャガイモ・サツマイ

モ・サトイモ等のイモ類、柑橘類、リンゴ・ブドウ・ナシ等の果
実類、魚介類、きのこ類、鶏肉、牛肉、藻類等
4 検査対象区域等の設定
地域的な広がりを把握するため、生産・水揚げ等の実態や産地表示の状況も踏まえて、自治体がその県域を適切な区域に分け、当該区域毎に複数市町村で検体を採取
5 検査の頻度
原則として曜日などを指定して週1回程度)に実施

・平成23年8月4日検査計画方針には対象品目としてあって、平成24年3月12日検査計画方針では「検査計画策定の際に考慮する品目」とレベルダウンした品目
 キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、タマネギ、キュウリ等の淡色野菜、トマト等の緑黄色野菜、卵、豚肉、サトイモ等のイモ類、卵、豚肉、鶏肉

ところで、各県の検査数はどのようになっているのだろうか。

3月19日の厚生労働省の各県の検査件数公表資料により検証を行ってみる。

野菜類だけをとりあえず見てみると以下の通りだ。

食品中の放射性物質検査の結果について(概略)厚生労働省食品安全部監視安全課 平成24年3月19日19:00時点速報値(平成23年3月19日公表分よりの累積検査件数等)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025nou-att/2r98520000025ntl.pdf

産地別野菜類調査件数(H23.3.19よりH24.3.19までのほぼ一年間の累積件数)
 秋田県 51
 山梨県 104
 静岡県 159
 岩手県 249
 東京都 330
 山形県 374
 神奈川県 485
 宮城県 556
 青森県 625
 長野県 746
 栃木県 877
 埼玉県 1,035
 群馬県 1,221
 新潟県 1,391
 千葉県 1,500
 茨城県 1,594
 福島県  8,158

調査件数最多県(福島)÷最少県(秋田)=140倍

これから、一週間一市町村あたりの検査件数を計算して見る。

1週間当たり野菜類調査件数÷各県内市町村数(平成24年1月4日現在)
 秋田県 0.039
 山梨県 0.074
 静岡県 0.087
 東京都 0.102
 岩手県 0.145
 長野県 0.186
 山形県 0.205
 神奈川県0.283
 青森県 0.300
 宮城県 0.305
 埼玉県 0.316
 千葉県 0.534
 栃木県 0.649
 群馬県 0.671
 茨城県 0.697
 新潟県 0.892
 福島県 2.659

福島県÷秋田県=68倍

福島県以外は、全ての県が一週間一市町村あたりの調査件数が「1」を割り込んでいることから、新たな検査計画のルールにより検査件数を大幅に増やさなければならない県が大半であることが予測される。

この数字からは、福島県と隣の宮城県で調査件数が15倍も異なっているなど、県ごとの検査体制に大きな格差があることも解かる。

消費者としては、こうした状態をしっかり踏まえた上で、各県が厚生労働省の指示通りにきちんと検査を行っていくのかどうかを監視していく必要があるだろう。

検査件数が多くなればなるほど、基準値を超えた食品の発覚件数は当然増える、検査件数を少なくすればするほど、発覚件数は当然減ってしまう。

新聞のニュースだけを読んでいたのでは、各県の基準地超え食品の発覚件数の格差の要因は、こうした各県の検査件数の格差に起因することが少なくないこと。つまりモラルハザードが起こっていることが解からない。

消費者はしっかりこうした数字を踏まえて、検査件数をルールより少なくする県はきちんと批判していかないと、モラルハザードが横行し、食の安全性が脅かされることになることをしっかり認識しておくべきだ。


  
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by touten2010 | 2012-03-23 00:58 | Comments(0)

福島原発事故の後、全ての日本人が放射能と向き合って暮らすことを運命付けられた。その一人として日々の放射能の情報を整理し、これに向き合う。
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