放射能に向き合う日々

カテゴリ:牛( 5 )




牧草の汚染状況を人目にふれないようにしようと画策する岩手県、宮城県

牧草については、昨年は、南は千葉県、埼玉県から北は岩手県まで、農水省が定める許容値を上回る放射性セシウムが検出され、東日本全域にわたって、牧草を乳牛に供与することができない時期が長く続いた。

その時の汚染牧草もすべて刈り取られ、今年新たに生えてきた牧草の汚染状況はどうだったのだろうか。

食品の基準値が大幅に厳しくなったことから、牛に供与する牧草の基準は100B/kgという非常に厳しいものになった。

以下のデータは農水省のホームページに掲載されているものを県別に値を高いものから並べたものである。

これを見ると、宮城県、福島県といった東北、栃木県、群馬県といった北関東で基準値を上回る値がみられ、
特に栃木県(矢板市、日光市、那須町、塩屋町、鹿沼市、那須塩原市)で基準値大きく上回る値が、また群馬県でも4市町村で基準値を上回るなど、1年目ほどではないにしろ、2年目に入っても牧草の汚染がまだかなりの範囲で存在することがわかる。

1年目であれば、事故直後に上空から放射能が降り注いだことによる牧草汚染があったが、そうした牧草は1年目に刈り取られているはずで、2年目に新たに生えてきた牧草が汚染されているということは、土壌表層に汚染が残っていて、それが根からすいあげられていることが考えられる。

野菜や小麦といったものから汚染数値の高いものが出ないのに、牧草だけ高い値が出るということは、牧草の根が一般より浅いものだからなのだろうか。

この点については、農林水産省はきちんと消費者に説明をすべきである。

それにしても、おかしいのは、岩手県の検出値が農水省のホームページに掲載されていないことと、宮崎県のデータがほんの一部の地域に限られていることである。

じつは、岩手県はすでに検査を行っていて、新聞にもプレスをしているのだが、それをホームページに掲載していないのだ。

盛岡市と滝沢村が自らのホームページで公表している値を見ると、去年の検出値から見ると汚染がそれほどひどくないはずの盛岡市においても基準値を上回る値がみられ、今年もやはり相当広範囲に高い汚染があることが推測される。

宮城県の方は、去年高い値が出なかった石巻市旧河北町と美里町旧南郷町以外の地域で牧草の放射能を測っている気配が全く見られない。

岩手県、宮城県は牧草の放射能汚染が高いことが世の中に知れ渡ると、農産物全体が汚染されているという印象を与えることから、検出値が一般の人の目にふれないようにしているのだろう。

しかし、そうした態度は果たして消費者の信頼を得るためには良い方法なのだろうか。

両県ではかなりの広範囲で牧草が汚染されていて、牛への飼料に用いることができず、輸入牧草を購入しなければいけなくなって畜産農家は困窮しているはずである。そうした事態をきちんと国民の前に示しておいた方がよいのではないか。

特に岩手県は、今年度当初は牧草の検出値を県のホームページで公表する方針を決め、ホームページにもその方針を載せている。

値をホームページで公表しないことは、この方針に反することであり、消費者を裏切ることなのではないか。

きちんと測って世の中に汚染実態をオープンにしている栃木県や群馬県の方が、農産物の買い控え被害にあってしまうようであれば、「正直ものはバカを見る」ということにはならないだろうか。

こうしたことをなるべく多くの人に考えてもらいたい。

*宮城県
石巻市旧河北町 6月7日 154
石巻市旧河北町 6月6日 39
美里町旧南郷町 8月6日 29
石巻市旧河北町 6月6日 15
石巻市旧河北町 6月6日 12
石巻市旧河北町 6月6日 <25
石巻市旧河北町 6月6日 <21
美里町旧南郷町 8月6日 <15
美里町旧南郷町 8月6日 <15

*福島県
磐梯町 6月14日 199
湯川村 5月11日 137
喜多方市 5月31日 129
喜多方市 7月11日 123
喜多方市 7月11日 116
喜多方市 7月11日 78
湯川村 6月7日 76
湯川村 6月11日 74
会津若松市 6月28日 57
喜多方市 6月4日 53
湯川村5月31日53
喜多方市 5月31日 45
会津若松市 6月13日 43
喜多方市 5月28日 35
会津若松市 6月13日 33
会津美里町 6月4日 26
会津坂下町 6月4日 18
会津坂下町 6月13日 18
会津美里町 5月30日 18
会津美里町 6月4日 18
喜多方市 6月6日 16
只見町 6月19日 16
下郷町 6月6日 14
郡山市 5月30日 13
喜多方市 5月28日 11
下郷町6月19日7
喜多方市 6月6日6
矢祭町6月19日6
矢祭町5月24日5
会津若松市 6月13日 4
喜多方市 6月6日4
西会津町 5月31日 4
南会津町 6月6日4
会津若松市 6月13日 3
喜多方市 6月6日3
喜多方市 6月6日2
下郷町 6月19日<23
下郷町 5月23日<21.5
会津坂下町 6月13日 <25
会津坂下町 5月17日 <23
会津若松市 6月13日 <25
会津美里町 6月5日 <28
喜多方市 5月28日 <35
喜多方市 5月28日 <28
喜多方市 5月28日 <25
喜多方市 6月6日 <23.8
喜多方市 6月6日<23.6
郡山市 6月7日 <28
郡山市 5月30日 <27
郡山市 6月7日 <27
郡山市 6月28日 <26
郡山市 5月30日 <25
郡山市 6月7日 <23
郡山市 5月30日 <22
西会津町 5月31日 <26
西会津町 5月31日 <24
西会津町 5月31日 <21.0
南会津町 6月19日 <30
南会津町 6月19日 <27
南会津町 6月19日 <25
南会津町 6月6日 <22.3
矢祭町 6月19日 <37
矢祭町 6月19日 <22
矢祭町 5月16日 <21

*茨城県
日立市 4月25日 60
水戸市 4月20日 46
常陸太田市 4月25日 18
稲敷市 3月19日 <40
稲敷市 3月19日 <20
河内町 4月5日 <30
河内町 4月5日 <15
笠間市 4月18日 <17.0
古河市 3月28日 <16
高萩市 4月25日 <21.8
鹿嶋市 4月12日 <19
守谷市 3月22日 <16
城里町 4月24日 <15.7
城里町 4月24日 <15.6
城里町 4月24日 <14.1
常総市 4月5日 <13
常陸大宮市 4月9日 <40
水戸市 4月20日 <11.7
石岡市 3月21日 <40
石岡市 3月28日 <18
大子町 4月12日 <18
筑西市 3月30日 <30
潮来市 4月12日 <18
那珂市 4月25日 <11.5
北茨城市 4月25日 <19.4

*栃木県
矢板市 5月14日 1009.2
日光市 6月5日 796.1
那須町 5月10日 680.1
日光市 6月5日 678
日光市 6月4日 551.1
塩谷町 5月2日 408
那須町 5月10日 391.8
鹿沼市 6月7日 332
鹿沼市 6月7日 279.8
那須塩原市 5月15日 268.4
那須塩原市 5月21日 266.9
那須町 5月10日 262.9
鹿沼市 6月7日 227.2
鹿沼市 6月7日 215.7
那須町 5月10日 183.9
鹿沼市 6月7日 176.4
那須町 5月10日 171.5
那須町 5月10日 157
日光市 6月4日 147.2
塩谷町 5月1日 134.8
日光市 6月5日 133.7
那須塩原市 5月15日 129.4
日光市 6月4日 127.4
塩谷町 5月1日 126.2
塩谷町 5月2日 124.1
日光市 6月5日 114
那須塩原市 5月15日 97.9
那須塩原市 5月15日 96.2
矢板市 5月2日 96.2
那須町 5月10日 91.6
塩谷町 5月2日 88
那須町 5月10日 72.2
那須町 5月10日 66.8
矢板市 5月2日 61.6
那須町 5月10日 59.5
那須塩原市 5月15日 56.4
塩谷町 5月2日 52.3
日光市 6月6日 50.7
那須塩原市 5月15日 46.2
塩谷町 5月1日 41.7
矢板市 5月2日 39.6
塩谷町 5月2日 38.1
矢板市 5月2日 25.2
大田原市 4月26日 20.3
日光市 6月4日 10.6
大田原市 4月26日 6.1
さくら市 4月25日 <9.0
高根沢町 4月25日 <7.7
市貝町 4月23日 <7.3
真岡市 4月23日 <8.1
足利市 4月18日 <9.7
足利市 4月19日 <8.0
足利市 4月18日 <7.5
大田原市 4月26日 <8.5
那珂川町 4月25日 <6.7
那須烏山市 4月25日 <6.2

*群馬県
沼田市(旧白沢村) 5月21日 310
沼田市(旧利根村) 6月4日 200
昭和村 5月21日 170
中之条町(旧中之条町) 6月8日 170
沼田市(旧白沢村)7月31日 150
中之条町(旧中之条町)6月4日 140
みなかみ町(旧新治村) 7月24日 130
沼田市(旧白沢村) 7月31日 120
みなかみ町(旧新治村) 6月8日 110
沼田市(旧利根村) 6月21日 110
昭和村 5月14日 100
昭和村 6月1日 100
前橋市(旧富士見村) 6月13日 100
中之条町(旧中之条町) 6月27日 100
東吾妻町(旧吾妻町) 6月25日 100
長野原町 5月29日 90
前橋市(旧富士見村) 6月13日 80
東吾妻町(旧吾妻町) 6月5日 80
みなかみ町(旧新治村) 7月24日 70
中之条町(旧中之条町) 6月8日 70
東吾妻町(旧吾妻町) 5月28日 70
みなかみ町(旧新治村) 5月25日 60
高山村 5月14日 60
中之条町(旧中之条町) 6月8日 60
中之条町(旧中之条町) 6月27日 60
長野原町 5月29日 60
嬬恋村 6月21日 60
嬬恋村 6月21日 60
嬬恋村 6月27日 60
東吾妻町(旧吾妻町) 6月28日 60
みなかみ町(旧新治村) 5月22日 50
高山村 5月14日 50
昭和村 5月21日 50
沼田市(旧利根村) 6月4日 50
沼田市(旧利根村) 6月7日 50
中之条町(旧中之条町) 6月4日 50
中之条町(旧中之条町) 6月8日 50
長野原町 5月29日 50
長野原町 6月25日 50
嬬恋村6月21日50
東吾妻町(旧吾妻町) 5月16日 50
みなかみ町(旧新治村) 5月22日 40
みなかみ町(旧新治村) 7月24日 40
長野原町 5月29日 40
長野原町 6月15日 40
東吾妻町(旧吾妻町) 5月16日 40
東吾妻町(旧吾妻町) 5月28日 40
東吾妻町(旧吾妻町) 5月28日 40
みなかみ町(旧新治村) 5月22日 30
昭和村 5月17日 30
沼田市(旧利根村) 7月25日 30
中之条町(旧中之条町) 6月8日 30
中之条町(旧中之条町) 6月8日 30
中之条町(旧中之条町) 6月13日 30
中之条町(旧中之条町) 8月2日 30
中之条町(旧中之条町) 7月27日 30
中之条町(旧中之条町) 6月5日 30
中之条町(旧六合村) 5月23日 30
長野原町 6月4日30
長野原町 6月4日30
長野原町 6月5日30
長野原町 6月14日 30
嬬恋村 6月4日 30
嬬恋村 6月4日 30
嬬恋村 6月15日 30
みなかみ町(旧新治村) 5月22日 20
みなかみ町(旧新治村) 7月24日 20
みなかみ町(旧新治村) 7月30日 20
下仁田町 5月10日 20
下仁田町 5月10日 20
下仁田町 5月10日 20
高山村 6月8日 20
昭和村 5月21日 20
昭和村 5月31日 20
昭和村 6月1日 20
昭和村 6月5日 20
沼田市(旧沼田市) 6月13日 20
沼田市(旧利根村) 6月28日 20
中之条町(旧中之条町) 6月4日 20
中之条町(旧中之条町) 6月8日 20
中之条町(旧中之条町) 6月8日 20
中之条町(旧中之条町) 7月30日 20
長野原町 5月29日 20
長野原町 6月4日 20
長野原町 6月4日 20
嬬恋村 7月17日 20
みなかみ町(旧新治村) 5月30日 10
下仁田町 5月24日 10
下仁田町 5月24日 10
昭和村 5月21日10
中之条町(旧中之条町) 6月8日 10
中之条町(旧中之条町) 7月27日 10
中之条町(旧中之条町) 6月27日 10
中之条町(旧中之条町) 7月27日 10
中之条町(旧六合村) 6月28日 10
長野原町 5月31日 10
嬬恋村 6月11日 10
東吾妻町(旧吾妻町) 5月28日 10
みなかみ町(旧月夜野町) 6月5日<9.01
みなかみ町(旧月夜野町) 5月24日 <8.81
みなかみ町(旧新治村) 6月25日 <9.73
みなかみ町(旧新治村) 5月14日 <6.88
みなかみ町(旧新治村) 5月21日 <14.8
みなかみ町(旧新治村) 5月31日 <10.9
下仁田町 5月24日 <10
高山村 5月30日 <6.37
昭和村 5月21日 <7.47
沼田市(旧沼田市)5月17日 <8.20
沼田市(旧沼田市)5月24日 <8.19
沼田市(旧沼田市)7月27日 <24.0
沼田市(旧沼田市)7月27日 <21.1
沼田市(旧沼田市)7月27日 <19.7
沼田市(旧沼田市) 6月1日 <18.3
沼田市(旧白沢村)6月4日 <8.88
沼田市(旧白沢村)6月18日 <17.7
川場村 5月29日 <7.77
川場村 6月8日 <20.6
中之条町(旧中之条町) 6月8日 <8.52
中之条町(旧中之条町) 6月8日 <7.82
中之条町(旧中之条町) 5月16日 <7.39
中之条町(旧中之条町) 6月5日 <7.10
中之条町(旧中之条町) 6月8日 <6.73
中之条町(旧中之条町) 5月14日 <5.50
中之条町(旧中之条町) 6月25日 <11.9
中之条町(旧中之条町) 6月8日 <10.4
中之条町(旧中之条町) 6月8日 <10
中之条町(旧中之条町) 6月13日 <10
長野原町 6月8日<9.72
長野原町 6月5日<8.21
長野原町 5月23日 <7.94
長野原町 6月4日<7.61
長野原町 5月23日 <7.32
長野原町 5月31日 <6.93
長野原町 5月15日 <6.55
長野原町 6月25日 <16.2
長野原町 6月8日<15.7
長野原町 7月5日<10.2
長野原町 7月30日 <10
長野原町 6月14日 <10
嬬恋村 6月4日 <6.58
嬬恋村 6月4日 <6.07
嬬恋村 6月27日 <11.8
香取市 4月10日 12

*千葉県
千葉市 4月25日 11
八街市 5月9日 9.3
佐倉市 4月10日 5.6
旭市 5月31日 3.1
いすみ市 4月20日 <5.8
夷隅郡御宿町 4月17日 <5.8
夷隅郡御宿町 4月17日 <5.1
夷隅郡大多喜町 4月18日 <7.7
夷隅郡大多喜町 4月18日 <5.6
鴨川市 3月26日 <25
鴨川市 3月26日 <25
館山市 3月26日 <25
佐倉市 4月10日 <5.5
山武市 4月10日 <5.2
市原市 4月6日 <4.9
市原市 4月12日 <3.9
市原市 4月19日 <3.9
市原市 4月11日 <3.8
勝浦市 4月17日 <8.1
東金市 5月17日 <4.1
南房総市 3月26日 <25
南房総市 4月18日 <2.2
富津市 3月27日 <25
富津市 3月27日 <25
富津市 3月27日 <25

平成24年2月3日
農林水産省
放射性セシウムを含む飼料の暫定許容値の改訂について
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/tikusui/120203.html

24年産飼料作物の放射性物質の調査結果
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/shiryo/24result.html

牧草中の放射性物質の調査結果(23年産)
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/syouhi/bokusou_kensa.html

粗飼料の放射性物質関連情報について 宮城県
http://www.pref.miyagi.jp/tikusanka/0401-bokusou_housyanou.html

原子力発電所事故に伴う放射線量等測定に係る対応方針について
2012年04月06日
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?cd=34335

放射線量等測定に係る対応方針【測定状況・計画編】p.23(県内全域、公共牧場114牧場で測定し、結果は県のホームページで公表するとしている。

畜産に関する情報 盛岡市
http://www.city.morioka.iwate.jp/shinsai/houshano/15610/index.html

旧盛岡市 71.3 
旧太田村 検出限界値以下
旧簗川村(盛岡市簗川第1地割から第3地割まで) 113.1 
旧簗川村(盛岡市簗川第1地割から第3地割までを除く)33.7 
旧見前村・旧飯岡村 33.8 
旧乙部村 46.5 

平成24年産牧草のモニタリング調査の結果について(平成24年6月11日)滝沢村
http://www.vill.takizawa.iwate.jp/eikyou

西部
44
34
不検出
不検出
41

中央部
不検出
19
不検出
不検出
不検出


東日本大震災:12年産の牧草セシウム検査 県、90牧場で利用自粛解除 暫定許容値下回り /岩手
毎日新聞 2012年06月15日 地方版
http://mainichi.jp/area/iwate/news/20120615ddlk03040016000c.html
県内114カ所の公共牧場で12年産牧草に含まれる放射性セシウム検査を実施した結果、
21市町村90牧場で利用自粛を解除、利用自粛を継続するのは盛岡市1▽遠野市7▽奥州市4▽金ケ崎町1▽一関市2▽大船渡市3▽陸前高田市

1▽宮古市3▽岩泉町1▽一戸町1の計24牧場と発表されている。
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by touten2010 | 2012-09-08 22:12 | | Comments(0)

放射能汚染牛肉が今日も流通しているのはなぜか

9月8日に新潟市で、流通業者の保管する宮崎県産の牛肉から、暫定規制値を上回る放射性セシウムが検出された。

8月19日に宮崎県産の牛の出荷制限が解除されると同時に、宮崎県産の牛は全て全戸又は全頭検査を受けることになり、放射性セシウムが暫定規制値を上回る牛肉を流通させない体制が整ったはずである。

にもかかわらず、流通している宮崎県産の牛肉から暫定規制値を上回る放射性セシウムが検出されるのはなぜだろうか?

新潟市のプレスリリースに記されている牛肉の固体識別番号と、宮崎県が2日に公表した資料の個体識別番号を照らし合わせてみると、今回見つかった牛肉は6月6日にとちくされたものであり、とちく場で全戸・全頭検査が行われる体制になった前にとちくされていたものであることが解かる。

 つまり、全戸・全頭検査体制が開始される前にとちくされた、暫定規制値を上回る放射性セシウムに汚染された宮崎県産の牛肉が、流通業者の冷蔵庫にはまだまだあるし、それは今日も売られているのかもしれないのである。

 このような状況では、消費者の牛肉に対する不安が解消されるはずも無い。全戸・全頭検査体制が始まっても、牛肉の値段が上向いてこないのも当然である。

 消費者の不安が解消されるには、
1.全戸・全頭検査により、汚染牛がとちく場より先に流通しないことが確保される。
2.既にとちくされ、流通段階にある牛肉の中に、汚染牛の牛肉が存在しないことが確認される。
という二つの条件が満たされなければならないはずである。

 そして、上記2の条件が満たされるには、現在厚生労働省が各県・自治体の保健所に命じて行わせている、以下の作業が、全ての汚染稲わら給与牛に対して完了することが必要である。

1.放射能に汚染された稲わらを給与された牛の存在を調査し、その牛の個体識別暗号(牛肉のトレーサビリテイシステムのために全ての牛と牛肉に付けられているもの)を公表するとともに、とちく場等流通先の自治体に番号を伝える。

2.流通先の自治体は、流通している牛肉を調査し、放射能検査を行うとともに、更に次の流通先を調査し、次の流通先の自治体に個体識別番号の情報を提供する。放射能汚染が暫定規制値を上回る牛肉については、最後の流通先まで牛肉が保管されているか、消費ずみかを確認する作業を繰り返す。

 しかし、汚染牛牛肉の流通先が膨大で、自治体の保健所の調査作業が完了する目処が全くたっていない。

 しかも、9月2日になっても宮城県のように新たな出荷済み汚染稲わら給与牛が牛が発見され、調査対象の牛肉はどんどん増えているのである。宮崎県産の汚染稲わら給与牛に限れば、7月23日に1,183頭だったものが、2,109頭と1,000頭近くも増えている。

 加えて、ひどいのは、全戸・全頭検査体制への移行に伴い、国も県も流通済みの牛肉の調査・検査状況についての国民への説明について「手抜き」をはじめ、消費者への情報提供がおろそかにされていることである。

 まず厚生労働省だが、流通済み牛肉の調査状況をとりまとめ公表作業を進めることを止めてしまった。下に示す厚生労働省のデータとりまとめホームページサイトの数字は7月下旬以降ほとんど集計が進められておらず、大部分の放射能汚染稲わら給与牛の牛肉については、食品衛生法上の暫定規制値を上回る放射性セシウムが検出されたものも含めて、集計作業にさえとりかかられておらず、調査が進められているのかどうかさえ良く解からない。

 次に、放射能汚染稲ワラの生産元であり、放射能汚染稲わら給与牛をもっとも多く出荷している。宮城県だが、稲わら汚染牛の調査の状況について説明入りの資料を公表することを7月23日以降行っていない。頭数のみを別資料の中で説明しているだけで、調査がどのような段階にあるのか、どうして汚染稲わら給与牛が次々に見つかって増えていくのか、調査はどのような段階で完了し、「もうこれ以上汚染稲わら給与牛がいる可能性が無い」ということがどのような手順で確定するのか、全く説明が無い。

 以前ブログで予告したが、心配していたとおり、全戸・全頭検査体制への移行とともに、行政・畜産農家における原因究明のインセンテイブが失われ、モラル・ハザードが説明の手抜きという形で、国・自治体から始まっているようだ。

 全戸・全頭検査体制に移行しても、市場に放射能汚染稲わらが給与された牛の牛肉が流通している限り、消費者の牛肉に対する不安が解消することはありえない。国も県も放射能汚染稲わらの流通状況、牛への給与状況、放射能汚染稲わら給与牛の牛肉流通状況を早急に徹底調査し、市場に放射能汚染牛肉が流通する状況を一刻も早く解消するべきである。そしてその進捗状況は国民に対して詳細に随時説明していくべきである。それが行われない限り、国民は牛肉をさけ続けるしかないだろう。

・宮城県内から出荷された家畜に由来する食肉の流通について 新潟市保健所 9月8日→個体識別番号10313-69197
http://www.city.niigata.jp/info/shoku_kanei/syokuei/topics/housya/img/0908.pdf

・事故後稲わら(*3)を給与した牛の個体識別番号について(PDF)2011年9月2日(173頭)宮城県
*3 放射性物質検査が行われていない事故後稲わら
10313-69197と畜日→6月6日
http://www.pref.miyagi.jp/shoku-

k/inawarakyuuyogyuu/20110905更新/inawarautagaiushi173.pdf


・宮城県において飼養されている牛の県外への移動及びと畜場への出荷の制限に係る一部解除について平成23年8月19日 医薬食品局食品安全部
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001ming.html

・特定の農家から出荷された牛の肉の流通調査結果について(第32報)(東京電力福島原子力発電所事故関連)
平成23年8月15日 医薬食品局食品安全部監視安全課
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001m85o.html

・放射性物質が検出された稲わらを給与した肉牛について(H23.7.23、PDFデータ)宮城県→この時点では汚染稲わら給与宮城県産牛1,183頭
http://www.pref.miyagi.jp/tikusanka/0400-

souchishiryou/110723pr1.pdf


・宮城県から出荷された牛の肉の流通状況等について(第32報)(食と暮らしの安全推進課・畜産課)→汚染稲わら給与宮城県産牛2109頭に
http://www.pref.miyagi.jp/press/pdf/110906-8.pdf

・事故後稲わらを給与された牛の個体識別番号について 宮城県
http://www.pref.miyagi.jp/shoku-k/inawarakyuuyogyuu/inawarabeef.htm


・放射性物質の検査結果について(福島県内農家出荷分) 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001jyvq.html

1 浅川町産の牛について 7月14日公表42頭
 東京都調査 販売先も含めとりまとめていたが、7月29日でとりまとめ公表作業ストップ。
 仙台市調査 販売先も含めとりまとめていたが、7月22日でとりまとめ公表作業ストップ。
横浜市調査 販売先も含めとりまとめていたが、7月22日でとりまとめ公表作業ストップ。

2 郡山市、喜多方市及び相馬市産の牛について 7月16日公表84頭
 埼玉県調査 とりまとめ公表作業は7月29日でストップ。なお、資料からは調査が終了しているか否かが解らない書き方になっている。
 東京都調査 販売先も含めとりまとめていたが、7月29日でとりまとめ公表作業ストップ。
 仙台市調査 とりまとめ公表作業は7月29日でストップ。なお、資料からは調査が終了しているか否かが解らない書き方になっている。
 郡山市調査 販売先も含めとりまとめていたが、8月23日でとりまとめ公表作業ストップ。

3 二本松市、本宮市、郡山市、須賀川市、白河市及び会津坂下町 7月18日公表411頭
 群馬県調査 販売先も含めとりまとめていたが、8月10日でとりまとめ公表作業ストップ。 
 埼玉県調査 販売先も含めとりまとめていたが、7月27日でとりまとめ公表作業ストップ。
東京都調査 販売先も含めとりまとめていたが、7月29日でとりまとめ公表作業ストップ。
 西宮市調査 とりまとめ公表作業は9月2日でストップ。なお、資料からは調査が終了しているか否かが解らない書き方になっている。
 郡山市調査 販売先も含めとりまとめていたが、7月27日でとりまとめ公表作業ストップ。

4 白河市及び猪苗代町 7月25日公表28頭 
 郡山市調査 1頭分しかとりまとめ公表作業がされておらず、その分について8月2日でとりまとめ公表作業ストップ。

5 須賀川市、古殿町、石川町及びいわき市 7月30日福島県公表290頭
 郡山市調査 1頭分しかとりまとめ公表作業がされておらず、その分について8月5日でとりまとめ公表作業完了。

6 二本松市、須賀川市、田村市、石川町、古殿町、平田村及び鮫川村 8月6日福島県公表13頭分
 郡山市調査 2頭分しかとりまとめ公表作業がされておらず、その分について8月12日でとりまとめ公表作業完了。

福島県において不適切な飼養管理が確認された農家から出荷された牛の肉の流通状況について
 浪江町 8月21日公表229頭分、5頭分
  販売先についてのとりまとめ公表作業がされていない。

・放射性物質の検査結果について(福島県以外農家出荷分まとめ)厚生労働省 3,778頭分
→出荷先とちく場より先の販売先についてはとりまとめ公表作業がされていない。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001jzem.html
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by touten2010 | 2011-09-14 22:14 | | Comments(0)

稲わらの汚染はどの程度だったか

食品衛生法の暫定規制値を超えた放射性セシウムが肉から検出される牛は
問題発覚後一ヶ月たっても、まだ続々と見つかっている。

この問題の元となっているのは、原発事故時に水田に放置されていてその後に収拾され牛に与えられた稲わらであり、水田で放射性セシウムにひどく汚染された訳だが、その

汚染度はどのくらいのものなのだろうか。
稲わらから検出された放射性セシウムの検出値は各県がバラバラに発表しており、農水省も厚生労働省も整理していないので、全体像がつかみにくい。
そこで、各県のホームページに公表された資料を一つ一つ調べて、値の高い順に整理してみた。

値が8,000Bq/kg以上のものを以下にあげる。
これをみると、以下のようなことが解かる。

1.10万Bq/kgを超えるものが、それに近いものが、福島県、栃木県、岩手県と広い地域から見つかっている。
 このレベルは放射能汚染汚泥の管理方針を当てはめて考えると、そこから出る強い放射線が回りに影響を与えるのを防ぐために遮蔽管理をして厳重に管理しなければならないほどの驚くほど高い汚染である。

2.汚染度の高い稲ワラでどこの県で産出されたのか、公表されていないものがかなりある。

3.宮城県よりも岩手県で汚染度のより高い稲わらが多く見つかっており、事故を起こした原発から遠方の箇所においても、放射性物質汚染が高い地域があることが解かる。

 本来であれば、このようなデータを元に、どこにどのように汚染が広がっているのか調査が行われるべきだと思うが、全くそのような気配は無い。
 
 特に、10万ベクレルを超える稲わらの産出県である栃木県は、極端に稲わらの調査公表データが少なく。汚染状況を解明しようという姿勢が皆目見られない。

 そもそも、このように高濃度が稲わらが汚染されているのが解かったのは、7月のはじめに南相馬市産の牛の牛肉から食品衛生法の暫定規制値を超えた放射性物質が見つかったことによる。稲わらは収集されて牛のえさにされるものはごく一部であることを考えると、高濃度汚染が発覚した7月よりはるか前の5月~6月の時期に、田植えの準備のために水田の土にすきこまれてしまった高濃度汚染稲わらが牛のえさとなった稲わらよりずっと多いはずで、その量は膨大になるはずである。そしてそれは水田の土を非常に高濃度に汚染しているはずだ。これだけ極端に高い汚染だと、いくら水田土壌から米に移行する放射性セシウムがごく一部だとしても(農水省は高く見積もって土壌の一割の汚染濃度だという考えて、稲作の作付け制限を行っている)収穫された米も相当高く汚染されていることが考えられる。今年の東北・関東の米は、政府の検査体制等安全対策をよほど注意して確認したうえで購入した方が良いと思う。
 

保持  稲ワラ
農家県産出県放射性セシウム検出値(Bq/kg)
 
福島県不明690,000
福島県不明500,000
福島県不明177,000
栃木県栃木県147,000
福島県不明123,000
栃木県栃木県106,000
福島県福島県? 97,000
岩手県岩手県 90,200
福島県不明 83,000
福島県福島県 75,000
岩手県岩手県 73,400
岩手県岩手県 73,100
岩手県岩手県 70,300
福島県不明 65,000
茨城県茨城県 64,000
岩手県岩手県 57,100
岩手県岩手県 57,000
岩手県岩手県 56,200
山形県山形県外 55,000
福島県不明 49,000
岩手県岩手県 47,000
岩手県岩手県 45,600
秋田県宮城県 43,100
岩手県岩手県 42,200
岩手県岩手県 42,000
岩手県岩手県 41,700
埼玉県宮城県 40,400
福島県不明 40,000
岩手県岩手県 39,500
福島県不明 39,000
新潟県宮城県 36,000
栃木県栃木県 35,000
宮城県宮城県 34,605
福島県不明 34,000
茨城県宮城県 33,000
新潟県宮城県 33,000
山形県山形県外 32,000
山形県山形県外 32,000
岩手県岩手県 31,800
福島県不明 31,000
岩手県岩手県 30,300
岩手県岩手県 30,200
岩手県岩手県 28,700
岩手県岩手県 28,100
岩手県岩手県 28,100
岩手県岩手県 27,300
三重県宮城県 26,000
宮城県宮城県 25,952
岩手県岩手県 25,700
富山県宮城県 24,300
福島県宮城県 24,000
茨城県宮城県 24,000
福島県福島県? 23,000
秋田県宮城県 22,000
山形県山形県外 22,000
茨城県宮城県 22,000
岩手県岩手県 21,700
岩手県岩手県 21,180
秋田県宮城県 21,000
青森県宮城県 20,600
新潟県宮城県 20,600
茨城県宮城県 20,400
秋田県宮城県 20,000
埼玉県宮城県 19,490
新潟県宮城県 19,300
宮城県宮城県 19,251
岩手県岩手県 18,980
秋田県宮城県 18,900
岩手県岩手県 18,720
茨城県福島県 18,700
群馬県宮城県 18,700
福島県不明 18,200
新潟県宮城県 18,200
岩手県宮城県 18,110
山形県宮城県 18,100
秋田県宮城県 18,000
岩手県岩手県 17,990
岩手県岩手県 17,620
福島県宮城県 17,600
岩手県岩手県 17,530
岩手県岩手県 17,280
秋田県宮城県 17,000
新潟県宮城県 16,900
岩手県宮城県 16,810
秋田県宮城県 16,700
山形県山形県外 16,500
山形県山形県外 16,400
茨城県宮城県 16,200
山形県宮城県 15,800
福島県不明 15,800
岐阜県宮城県 15,800
群馬県宮城県 15,700
山形県山形県外 15,500
宮城県宮城県 15,223
秋田県宮城県 15,200
岩手県岩手県 15,150
茨城県宮城県 15,100
新潟県宮城県 14,900
青森県宮城県 14,800
秋田県宮城県 14,500
新潟県宮城県 14,200
福島県不明 14,100
岩手県岩手県
・宮城県 14,000
宮城県宮城県 13,676
秋田県宮城県 13,600
群馬県宮城県 13,200
宮城県宮城県 12,762
岩手県宮城県 12,570
岩手県岩手県 12,460
福島県不明 12,300
岩手県岩手県 12,210
秋田県宮城県 11,900
岩手県岩手県 11,710
岩手県岩手県 11,610
宮城県宮城県 11,610
岩手県岩手県 11,420
福島県不明 11,400
山形県山形県外 11,300
秋田県宮城県 11,200
山形県山形県外 10,700
岩手県岩手県 10,590
新潟県宮城県 10,500
岩手県岩手県 10,480
秋田県宮城県 10,000
秋田県宮城県 9,630
岩手県岩手県 9,610
福島県不明 9,500
福島県不明 9,500
岩手県岩手県 9,450
宮城県宮城県 9,441
岩手県宮城県 9,430
山形県山形県外 9,400
静岡県宮城県 9,380
岩手県宮城県 9,290
岩手県岩手県 9,060
埼玉県宮城県 9,030
秋田県宮城県 9,000
岩手県岩手県 8,560
岩手県岩手県 8,350
岩手県宮城県 8,340
北海道宮城県 8,300
岩手県宮城県 8,300
岩手県岩手県 8,300
宮城県宮城県 8,282
岩手県岩手県 8,090
岩手県岩手県 8,060
宮城県宮城県 8,038
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by touten2010 | 2011-09-03 23:43 | | Comments(0)

問題の本質を認識せず珍説を唱える朝日新聞

朝日新聞の社説は、ものを書くときに根拠の資料を確認しないようなズボラな人でも書けるらしい。

8月8日の朝日新聞は社説で「稲わら汚染牛 農水省の失策のツケ」と題して、食品衛生法の暫定規制値を上回る放射能汚染牛肉が日本中に流通してしまったのは全て農水省のせいだと決め付けた。つまり日本中に流通した放射能汚染稲わらの発生源である宮城県などの自治体や、畜産農家の責任には全く言及していない。
 事故後の8日後に農水省が各県通知した文書に「牧草を与える場合は、事故発生前に刈り取り・保管したものだけを使う」ようとしか書かれておらず、稲わらには触れていなかったから、というのがこの社説で掲げている全責任者農水省説の根拠である。
 しかし、この説は二つの点で珍説である。

まず一つ、この農水省が出した文書の現物に当たってみると、社説が唱えていることが間違いであることがわかる。

原子力発電所事故を踏まえた家畜の飼養管理について
平成23年3月19日

http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/pdf/seisan_110321.pdf

確かに通知文書本文には、

乾牧草(サイレージを含む)を給与する場合は、事故の発生前に刈り取り・保管されたもののみを使用すること。さらに
(1)事故の発生時以降も屋内で保管されたものを使用すること。
(2)屋外で保管されたものはラップ等の包材により外気と遮断されたものを使用すること。これらを使用する際には、包材の外装を念のため布でふきとったり、水洗いする等してから包材を開けること。

と書いてあり、稲わらについてはふれていない。

しかし、これに添付されている農家へのPR用文書「畜産農家の皆様へ」では、

家畜に放射性物質がかかった牧草、乾草、サイレージなどの飼料を与えることがないように、
(1)事故の発生前に刈り取った飼料を使いましょう。
(2)倉庫など屋内で保管された飼料を使いましょう。
(3)屋外で保管されている飼料については、ラップ等で空気に触れない状態で保管されたものだけを使いましょう(念のため、使う前に乾草等を覆っているラップ等を布で拭いたり、水洗いしましょう。)

と書かれており、乾草(乾燥した草)についても、事故の発生前に刈り取ったものだけを使うように指導している。乾燥した草に稲わらが入らないと考える人がいるとは思えない。この文書では稲わらも含めて事故発生前に刈り取ったものだけを使うように指導していることが明白である。社説を書いた方はこの原文を読んでいないとしか思えない。

もう一つだが、仮に「畜産農家の皆様へ」が何故か農家には配られず、農家が通知本文しか見ていなかったとしても、「牧草等は空気に触れない状態で保管されたものだけを使いましょう」と指導されてるにもかかわらず、原発事故後も野ざらしで空気に触れ放題だった稲わらを「牧草では無いから飼料に使って大丈夫」と考えてしまうこと自体、常識的には考えられないということである。何故か朝日新聞の社説を書いている人はそれを常識だと考えているようである。畜産農家はそれほど知恵がないと思っているのだろうか、それなら、そもそもそれほど知恵がない畜産農家に食の安全を任せておいて不安を感じないのだろうか。

 現実的に考えると、この文書を農家が見ていて「事故後に野外にあった稲わらを収拾して牛に与えても、農水省の指導には反せず、問題は無い」と考えたとは考えにくい。問題はこの文書を農家が見ていないということにあるのではないか、だとしたらそれは県に大きな責任がある。それと、畜産農家に知り合いがいたり、親が畜産農家だったりする職員を山ほど抱えているはずの農水省が、文書を農家が見ていないということに気づかなかったということにも大きな問題がある。仮に農家が見ていたとしたら、それは「農水省の指導は過剰な措置で、従わなくても問題はないはずだ」と農家が考えてしまったことに問題がある。この場合畜産農家に大きな責任があるが、農家の信頼を得ていない農水省にもかなり責任がある。

 この社説のような珍説が世の中に広まってしまうと、本当の問題の所在が不明瞭になってしまう。そうなるともう一度同じことが起きるということにつながってしまう。

 私は個人的んは新聞の社説ほどあてにならないものは無いと思っている。えらい人が書いているので、チェックする人がいないからである。

 皆さんも社説を読むときは気をつけましょう。(そもそも私のように「どうせつまらないことしか書いていないのだから」滅多に読まないという人も多いと思うが)
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by touten2010 | 2011-08-16 01:11 | | Comments(0)

牛の全頭放射能検査は消費者の不安を解消するか

放射性セシウムに高濃度に汚染された稲わらをえさとしてあたえられた牛の肉から、次々と食品衛生法の暫定規制値を上回るものが見つかっていることから、
東日本の都道府県が続々と牛の全頭検査に乗り出している。

 そして今日8月5日、農林水産省は、汚染された稲わらを供与された牛の肉は、検出された放射性セシウムが暫定規制値を下回って食品衛生法全く問題なく食べられるものであっても、買い上げて処分するという処置を決めた。

・平成23年8月5日
農林水産省
東日本大震災について~牛肉・稲わらからのセシウム検出に対する新たな対策について~

http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_kikaku/110805.html
 これで、放射能に汚染された牛肉は出回ることが無くなり、一方で損害を被った畜産農家は全て損害を取り戻すことができる。

 政府の積極的な措置により、食の安全・安心が確保され、農家の損害も解消されたことから、全てが解決したように見える。

 しかし、これらの措置により、牛肉の安全性に関する消費者の信頼が回復するのだろうか?

 わたしは全くそう思わない。

 なぜなら、これらの措置は畜産農家や県等自治体の食の安全についての「モラル・ハザード」を招くとともに、原因の究明作業を行うモチベーション関係者から消失させ、「なぜこのようなことが起こったのか、その問題は解決されているのか、これからも同じことは起こらないのか」といった消費者の疑問を解消する道を閉ざしてしまうからだ。

 今回の措置により、牛肉の消費、特に和牛の消費は長期的に大きく減少していくだろう。畜産農家や自治体は、責任をうやむやにして逃れることにより、逆に自らの首を絞めてしまった。

 経過を振り返ってみよう。

 事故後直後に農林水産省は、屋外にあった飼料は牛に供与しないように、牧草は収穫して供与しないよう、都道府県を通じて畜産農家に指導を行った。

・原子力発電所事故を踏まえた家畜の飼養管理について(PDF:118KB)
3月19日 農林水産省

http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/pdf/seisan_110321.pdf

 そして、牧草については、放射性セシウムについて食品の規制値よりも厳しい300Bq/kgという許容地を設定し、地域ごとに放射性物質を測定し、許容地を上回る間は牧草を牛に供与しないように都道府県を通じて指導した。


 そして各県は牧草に含まれる放射性物質を検査し、許容値を上回った場合はその牧草をは家畜には供与せず、刈っておいておき、次に生えてきた牧草についてさらに放射性物質を検査して、下回った場合のみ牧草の供与を再生してきたものに限る行うということを行ってきたのである。一時は関東のほぼ全域、福島、宮城、岩手のかなりの範囲が牧草を供与できない地域となり、畜産農家は大きな負担を被ったのである。

 そのかいあって、肉類には放射性物質はほとんど検出されず、検出されても食品衛生法の基準を大幅に下回っていたのである。

・畜産物中の放射性物質の検査結果について
農林水産省

http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/seisan_kensa.html#niku_tamago
 しかし、7月8日に突然南相馬市産の牛の肉から食品衛生法の暫定規制値を大幅に上回る放射性セシウムが検出された。

 そして、調べてみるとその畜産農家は、農水省の指導に反して、原発事故後に周囲の水田から収穫した高濃度に放射能汚染された稲わらを牛に与えていたことが解かった。

 さらに、同様の不適切行為を行っている畜産農家がいないか、福島県が県内の畜産農家を調べているうちに、多くの畜産農家が宮城県から稲わらを購入しており、その稲わらが高濃度に放射能汚染されていることが解かった。

 さらに通報を受けた宮城県が、稲わらを販売した事業者を調査見ると、その高濃度に放射能汚染された稲わらが北は北海道から南は島根まで日本中に広く販売され、牛に与えられていることが解かった。

・放射性物質が検出された稲わらを給与した肉牛について(第2報)

http://www.pref.miyagi.jp/tikusanka/0400-souchishiryou/110722pr3.pdf
 そして汚染稲わらが与えられた牛の出荷頭数はすでに3,500頭に及んでいる。それらの牛の肉から食品衛生法の暫定規制値を上回る放射性物質が検出されたケースは既に50例を越えている。
・放射性セシウム汚染稲わらの利用肉用牛農家の概要について

http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/kaciku/sesiumu_shiyou.html

 上記の農水省資料からも解かるように、問題の牛は全国に広く見つかっているが、その原因はほとんど宮城県産の稲わらなのである。

 農水省は、3月になってまだ屋外にある稲わらが収穫されるということは無いと思っていたということだが、それなら現場で牧草の供与禁止を指導していた宮城県の職員はそのような事態に全く気づかなかったのだろうか。気づかなかったとしたらとても不思議である。

 知事は「牧草が大丈夫でしたので、稲わらについて大丈夫だったろうと考えたということで」と会見で言っているが、これは全くの事実誤認である。宮城県は全域が一時は牧草の供与が禁止されており、「牧草が大丈夫になった」のはつい最近であり、しかも大部分の地域で一度刈り取ったあとに生えてくる再生草以外は供与しないように宮城県が指導を行っているのである。また、農水省が指導文書で「粗飼料」という言葉を使っていたので、それを農家が勘違いしたという農家の言い分を認めているが、これは全く事実誤認である。畜産農家配布用に農林水産省が作った3月19日通知に添付されたチラシには「飼料」という言葉は使われているが、「粗飼料」という言葉は使われていない。えさとして与える稲わらを「飼料」では無いと思ったという言い訳は詭弁としか思えない。

・宮城県知事記者会見(平成23年7月19日)

http://www.pref.miyagi.jp/kohou/kaiken/h23/k230719.htm

 宮城県知事は、汚染稲わらを県内畜産農家が牛に与えたのも、汚染稲わらが宮城県から日本中に販売されたのも、現場で一部始終を知っていたはずの宮城県のせいではなく
「農林水産省の責任である」と言っている。 シンプルに言うと、「農水省の指導に宮城県が従わず問題を起こしたことについては、農水省に責任がある」と言っているのである。不思議としか言いようが無い。

 こうして責任がうやむやにされた上に、国民の税金を使って汚染稲わらが供与された牛の全頭買い上げが行われ、さらに国民の税金が使われて牛の全頭検査が行われるのである(宮城県は必ず国に検査費用の負担を要求するだろう)。国の指導に従わなかった畜産農家や自治体が負担を担うことなく、放射能汚染された牛肉を食べさせられた被害者である消費者が税金によって負担を担うのである。

 このような状態でモラルハザードがおきるという恐れを消費者が抱かなければそれはまたとても不思議である。また、同じことは今度は米や他の作物でおきないとも限らないと消費者が恐れをいだかないとしたら、これもまた不思議である。、

 
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by touten2010 | 2011-08-06 02:52 | | Comments(0)

福島原発事故の後、全ての日本人が放射能と向き合って暮らすことを運命付けられた。その一人として日々の放射能の情報を整理し、これに向き合う。
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