放射能に向き合う日々

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来年の福島の米はもう大丈夫?

東大が「来年の福島の米からは、もう高い放射性セシウムは検出されないだろう」という希望に満ちた研究成果を発表した。

・第二回放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会
-東日本大震災に関する救援・復興に係る(東京大学)農学生命科学研究科の取組み-
2012年2月18日(土) 13:00~17:00
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/event/20120218.html

・水田における土壌から稲への放射性セシウム移行のメカニズムについて [要旨]
塩沢 昌 (東京大学大学院農学生命科学研究科・生物・環境工学専攻・教授)
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/event/20120218.html

「原発事故直後に水田農地表面を覆っていた雑草・稲ワラ・落ち葉などの有機物に降下した放射性セシウムが付着。
有機物に付着した放射性セシウムは土壌中にあっても粘土粒子へ固定化されず、有機物が土壌中で分解する過程で高濃度の可溶性セシウムとして土壌水中に放出され、 これが粘土粒子に固定化される前に稲の根から吸収された。」という「有機物説」を提唱。
 「有機物説」が正しければ、放射性セシウムを付着・吸収した有機物はこの一年間で分解が進み土壌に強く固定されるため、次期は稲への移行は大きく減少すると予測している。

 同時に、福島県の玄米500Bq/kg越え水田および移行係数が大きい(約0.1以上)水田等の調査から、玄米への高い放射性セシウムの移行の原因は用水経由の流入によるものではないと説明。これは、「沢水などの流入により、山林から放射性セシウムが供給された可能性がある。」と用水経由の流入を要因の一つと推定した農林水産省と福島県の要因解析を否定した形となっている。

・暫定規制値を超過した放射性セシウムを含む米が生産された要因の解析(中間報告)
平成23年12月25日 福島県 農林水産省
http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/kenkyuukaihatu/gijyutsufukyuu/05gensiryoku/240104tyukan.pdf
p.3 また、土壌の放射性セシウム濃度が5,000 Bq/kgを超える地点でも、米の放射性セシウム濃度が暫定規制値を大きく下回る事例もあるなど、土壌の放射性セシウム濃度と玄米の放射性セシウム濃度との間には明確な相関関係は見られなかった。
p.6,7 カリ肥料の施用量がなかったことから土壌中のカリウム含量がなく、放射性セシウムが根から吸収され易かった可能性がある。
p.7 流入により、山林から放射性セシウムが供給された可能性がある。

 農水省や福島県のように、「放射性セシウムで高濃度に汚染された山林からの流入水により田の水に含まれた放射性セシウムを稲が吸い上げた」というシナリオだと、山林の放射能汚染が低くなっていくというシナリオがまだ無いことから、一度収穫米から高い放射性セシウムが検出された水田は、長期間に高い放射能汚染米を産出し続けるという予測になる。

 これが今回の東大の「有機物説」による予測だと、要因は原発事故により汚染され田の土壌の中に既にある有機物だけなのだから、その有機物が分解され含まれた放射性セシウムが土壌中の年度に固定化されてしまえば、稲の根が吸い上げることはできなくなり、米から放射性セシウムが検出されることは来年からもうなくなるというのだ。

 「有機物説」も今のところ仮説に過ぎないが、これが事実であることを祈るのみである。

 さて、東大はこうした研究成果を出すとともに、今年高い放射性セシウム米が検出された福島の田でも来年度も稲の作付けを収穫物を流通させない「試験作付け」として行うべきだと提言している。

・「玄米の放射性セシウムが1キロ・グラム当たり100ベクレルを超えた地域における稲の「試験作付」推奨に関する提言」
東京大学大学院農学生命科学研究科長澤寛道研究科長 平成24年2月13日
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/20120213teigen.pdf
「作付をしないことにより、稲作環境を荒廃させ、働き手を失うことは論を俟たない。」とし、「試験的作付と位置づけて推奨すべきである。もちろん、その際の収穫物は流通させない策を講じる必要がある。」と主張。

 しかし、収穫物を流通させないことを前提とすると、「収穫してしまった米をどうするのか」「苗代、肥料代、機械の燃料代、労賃等かかった費用を誰がまかなうのか」といった問題がでてきてしまう。100ベクレル/kg以上の放射性セシウムが検出された地域は、昭和40年代の旧市町村単位という非常にせまい地域を単位として考えても、相当な広範囲にわたる。その広い地域で産出された稲の生産費を全て「試験費用」として国の資金や東京電力の負担で賄うのは非現実的な想定だろう、それは作付けしなければ発生しない費用であり、実験のためだけにそのような費用を負担することは国も東京電力もできないだろう。

 問題は来年度収穫された米に高い放射能が含まれてしまう可能性は無いとは言えないこと、そしてその米が食用米として流通してしまう可能性があることである。
それなら、作付けした米はすべて収穫する前に茎や葉ごと飼料にしてしまう「ホール・クロップ・サイレージ」にしてしまえばよいのである。これなら絶対できた米が収穫されて食用に流通することがないし、農家も生産費を飼料の代金と国からの補助金(戸別所得補償)によりまかなうことができる。

 今回100Bq/kg以上の米が検出されてしまった福島の地域の稲作農家の方々は、本当に次の作付けをしたいのであれば、こういった具体的な提案を国にしていくべきである。
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by touten2010 | 2012-02-22 22:27 | | Comments(0)

福島原発事故の後、全ての日本人が放射能と向き合って暮らすことを運命付けられた。その一人として日々の放射能の情報を整理し、これに向き合う。
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