放射能に向き合う日々

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「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」の危険性

環境省より、環境における放射能汚染の除染の基準値を、「ひばく線量年間1ミリシーベルトとする」という方針について、国民の意見を問うパブリックコメントが出されている。締め切りが明日に迫っているが、その問題点を考えてみる。

・「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等に対する意見の募集(パブリックコメント)について(お知らせ) 環境省 平成23年10月17日

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14327


→「追加被ばく線量年間1ミリシーベルト」を根拠に、放射性物質汚染対処特措法第36条1項に基づき都道府県知事等に除染実施計画を定めることことを義務づける区域の要件を「その区域における放射線量が一時間あたり0.23マイクロシーベルト以上」と設定。意見提出締め切り10月26日

前回のブログコメントで示したように、食品安全委員会は「生涯累積実効線量を100ミリシーベルトにおさえる」ことが必要だという評価を出している。

これを基に考えると、食品による内部ひばくと、環境からの外部ひばくを合わせて100ミリシーベルトにしなければ、ガンの発生率が高まるなど、何らかの影響が出てしまうということになるだろう。

環境からの外部被曝の基準を年間1ミリシーベルト以下とすると、人生80年とすると、外部ひばくだけで、80ミリシーベルトとなり、これを生涯累積線量の下限の100ミリシーベルトから差し引くと、食品からの内部ひばくを生涯累積で20ミリシーベルト、年間に直すと20ミリシーベルト÷80年=0.25ミリシーベルトに抑えることが必要になる。

現行の食品衛生法の放射能汚染規制基準が年間5ミリシーベルトを基に規制値をさだめていることを考えると、現行の規制値を20分の1程度に抑えることが必要になってしまう。現行の規制値さえ、ヨーロッパやアメリカに比べて厳しいことを考えると、現行の食品衛生法の規制値を20分の1に抑えることは到底不可能だろう。

食品安全委員会の評価である年間100ミリシーベルトを人生80年で計算した値が1.25ミリシーベルトとなることから、例えば、外部ひばくと、内部ひばくを同程度に抑えることとすると、それぞれを年間0.625ミリシーベルト以下に抑えないと影響が出てしまうことになる。「放射性物質汚染対処特措法第11条第1項、第25条第1項、第32条第1項及び第36条第1項の環境省令で定める要件案」における「区域における放射線量」については1時間当たり0.23マイクロシーベルトではなく、1時間当たり0.16マイクロシーベルトに抑えないと影響が出てしまうということだ。

環境省の方針案には外部ひばくと内部ひばくの影響を合わせて考えると視点が欠けている。これは極めて非科学的で問題だ。

文部科学省の航空機モニタリングによると、環境の線量が1時間当たり0.2~0.5マイクロシーベルトの地帯は、東京近郊の人口密集地にもかなり広く存在する。北関東、東北はいわずもがなだ。

・文部科学省による埼玉県及び千葉県の航空機モニタリングの測定結果について(平成23年9月29日)(PDF:1829KB)

http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_092917_1.pdf


→図でみると、千葉県柏市、松戸市、我孫子市、白井市、印西市に0.2~0.5マイクロシーベルトの地域有り。

このまま外部ひばくと内部ひばくを切り離して考える方針が通ってしまうと、こうした地帯に済んでいる人たちには、将来何らかの影響が出てしまうことが考えらる。

厚生労働省の小宮山大臣は少なくとも外部ひばくと内部ひばくは合わせて100ミリシーベルトにおさえなければならないという認識にあるようだが、環境省が外部ひばくの基準を1ミリシーベルトにしようとしていることを知っているのか疑問だ。すくなくとも、環境省の外部ひばくの基準と厚生労働省の内部ひばくの基準を合わせて100ミリシーベルトにおさえなければならないということに気づいていないように思える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小宮山大臣閣議後記者会見概要(抜粋)
(H23.10.21(金)10:59 ~ 11:20  省内会見室)

http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/2r9852000001sm4x.html


(記者)
 先程、食品の暫定規制値について、専門家の判断をまだ経ていない段階で大臣が暫定規制値を厳しくするということをおっしゃいましたが、これはその方向でよろしいのでしょうか。

(大臣)
 今、示されているのが生涯を通して、内部被ばく、外部被ばく併せて100ミリシーベルトと言われていて、こういう形で出ると本当に毎年どういう形で設定したらいいかというのが非常に悩ましくやっている訳ですが、全体の中で、現在は食品の放射性物質の暫定規制値、許容できる線量を年間5ミリシーベルトという形でご承知のように設定しています。ただこれは、緊急時のものなので、現在の状況を踏まえて新たな規制値を設定して、更に食品の安全性を確保する必要がある。更に安全性を確保するということは厳しくするということだということを申し上げました。今後も、食品安全委員会の最終的な評価書が示された段階で、国際的な基準に照らして、そして専門家のご意見も伺いながら、基本的な考え方を厚労省として示したいと思っています。それは常識的に考えて緩くなるということではないでしょう、という意味で厳しくなるということを、申し上げました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私はきちんと外部ひばくと内部ひばくをきちんと合わせて考えるように、環境からのひばく線量を年間1ミリシーベルトではなく、0.625ミリシーベルト程度に抑えるように、区域における放射線量については1時間当たり0.16マイクロシーベルトに抑えるように意見を出そうと思う。
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by touten2010 | 2011-10-25 22:43 | Comments(0)

食品の放射能汚染規制値が今の4分の1以下に厳格化される日に備えよう

小宮山厚生労働大臣が、21日の閣議後記者会見で、食品衛生法の放射能汚染に対する規制値を、現行より厳しくすると発言し、各テレビ局がニュースでとりあげている。

【原発】「厳しくなる」食品の規制値見直しへ(10/21 14:10) ANN ニュース
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/211021022.html

食品の規制値、厚労相「厳しくなる」 TBSニュース
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4857014.html

 規制値を厳しくするという方向性は、食品安全委員会の検討結果からみると当然のことであり、その方向性はすでに7月末には明らかになっていたものである。

 経緯を追ってみよう。

 現行の食品衛生法の放射能汚染に対する暫定規制値は、原発事後の3月17日に、厚生労働省が急遽さだめたのである。
 
 その数値は、原子力安全委員会が随分前に定めた原発事故に対する防災指針の中で示していたものをそのまま丸写ししたもので、厚生労働省としての検証はほとんど行っていないと考えて良いものである

 その算定根拠の年間実効線量は、放射性ヨウ素で年間2ミリシーベルト、放射性セシウムで年間5ミリシーベルトであった。その実効線量以下に食品からの内部被曝がおさまるように、計算して、各種の食品における放射性物質の規制値(飲料水・牛乳200Bq/kg、野菜類・穀類・肉類等500Bq/kg)が、決められているのである。

・放射能汚染された食品の取り扱いについて 平成23年3月17日 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e.html
放射性セシウムの指標値を、飲料水・牛乳200Bq/kg、野菜類・穀類・肉類等500Bq/kgと設定。

・原子力施設等の防災対策について 原子力安全委員会 最終改正平成22年8月
http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/history/59-15.pdf
5-3(3)p.23にて放射性セシウムの指標値を、飲料水・牛乳200Bq/kg、野菜類・穀類・肉類等500Bq/kgと設定。
その算定根拠の実効線量年間は、5ミリシーベルト(p.108に考え方を記載)

 食品安全委員会は、この食品衛生法の暫定規制値を緊急時の暫定的なものには妥当なものだと3月に認めたが、通常の場合に適用することは不適切という見解の基、
通常の場合に適用するための、ワーキンググループを開催して、実効線量の上限値を検討してきた。

 そして、ワーキンググループは、その実効線量は「生涯類累積で100ミリシーベルトである」と結論付け、7月29日からその評価案をホームページに掲載して、8月下旬まで一般から意見を求めた(パブリックコメント)。

 そして現時点では、食品安全委員会にワーキンググループが作成した評価書が提出され、委員会で決定されて、厚生労働省にそれが通知される予定になっているのである。

・「食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価(案)」[PDF:1,407KB]
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_risk_radio_230729.pdf
→生涯累積実効線量を100ミリシーベルトに設定(p.9参照)

・「食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価(案)」の概要[PDF]
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka_ann_gaiyo.pdf

・放射性物質の食品健康影響評価の状況について 食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka.html
今後、食品安全委員会において評価書案を確定し、厚生労働省へ評価結果を通知する予定であることを記載。

 生涯累積で100ミリシーベルトということであれば、人生80年と計算して、年間実効線量は1.25ミリシーベルトとなる。それ以下に食品からの被曝を抑えるということになると、放射性セシウムだけで考えると年間実効線量5ミリシーベルトを基準としていたのであるから、基準となる実効線量が4分の1になるということであって、そこから計算して導き出している食品の放射性物質規制値も4分の1程度になるはずである。

 規制値が4分の1程度になるということは随分厳しいような気もするが、食品以外の規制値について考えると、以下の通り、放射性物質が検出された汚泥の処理を行うときに汚泥処理の基準地については、6月の時点で既に周辺住民の被曝実効線量を「1ミリシーベルト以下におさえること」となっていた。食品の規制値の基準を仮に1.25ミリシーベルトとし現行の規制値を4分の1にしても、汚泥の規制値の基準地である1ミリシーベルトにくらべるとまだ規制は緩いのである。

・「放射性物質が検出された上下水処理副次産物の当面の取り扱いに関する考え方」について 国土交通省 6月16日
http://www.mlit.go.jp/common/000147621.pdf
→汚泥について
放射性物質が検出された上下水道処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方 6月16日政府原子力災害対策本部(別紙)では、「「処理・輸送・保管に伴い、周辺住民の受ける線量が年間1ミリシーベルトを超えないようにする」「処分施設の管理期間終了以後、周辺住民の受ける線量が年間10マイクロシーベルト以下になるようにする」と明記

 しかし、科学者の集まりである食品安全委員会が、多くの文献を精査してこういった結論を下したのであり、汚泥の規制値を決めた時よりも格段に時間をかけて精密な検討作業が行われたのであるから、「汚泥より緩いから問題だ」ということは言えないだろう。食品安全委員会の「報告書(案)」は何百ページもあり、言葉は解かりにくいが、非常に貴重な情報が含まれているので、是非多くの人に読んでもらいたい。


 問題は、8月下旬に食品安全委員会が一般からの意見提出を締め切ってから、2ヶ月近くたっても、食品安全委員会へこの評価書が提出されないことだ。

 食品安全委員会の評価はあくまでも人の浴びる実効線量の評価にとどまっているので、そこから食品の放射性物質の規制値を導き出す作業は全く別で、これは厚生労働省が行うものである。現状の暫定規制値と全く同じように、原子力安全委員会が用いている計算の仕方をそのまままねるということでは、厚生労働省としてしっかり検討をしないということになり、不適切だろう。

 厚生労働省の方向性はどうだろうか。

・小宮山厚生労働大臣共同記者会見概要(H23.09.05(月)13:30~14:03 省内会見室)
http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/2r9852000001nymg.html
「原発事故の関係では、・・・特に皆さんの関心の高い食の安全の問題、これは、他の内閣府などとも連携をとりながらしっかり安全の基準をと。今は暫定の基準でやっておりますが、そこをしっかりとした基準値が作れるようにと。ただ、これは、生涯を通してというような数字が出ているのでやり方は、大変難しいと思っていますが、安全をしっかり確保しながら、しかも、現実的な中で対応できるようなものを作るようにしたいと思っています。」

 厚生労働省の方向性は、食品安全委員会の「生涯累積実効線量100ミリシーベルト」を踏まえて、食品の実態を踏まえたものとしたいというものだと憶測される。食べることは無いお茶の規制値を食品と同じにしていることは厳しすぎないか、水に戻して食べるものである干ししいたけを、通常の食品と同じような規制値で規制してよいのか、実態とあわせて規制値を考える必要のある食品はいろいろあるだろう。

 とりあえず、TBSのニュースだと、「今月中に」遅れに遅れていた食品安全委員会の評価が決定されそうだ。食品安全委員会の次回開催は10月27日の木曜日である、今月中と言えばその日しかないだろう。どのような答申が出るのか、是非多くの人に関心を持ってみてもらいたい。また、その後の厚生労働省による実際の食品の規制値の検討も、オープンで科学的な検討が、消費者や生産者・食品事業者から実情や意見を良く聞いてなされるべきである。こちらも多くの人たちに注目してみてもらいたい。

・今後の食品安全委員会等開催予定
平成23年10月27日(木) 14:00~ 食品安全委員会(第405回)
http://www.fsc.go.jp/iinkai/iinkai_yotei.html

 生産者や食品事業者は、規制値が4分の1以下の厳しい値になったとき、体制をどうするかを今から早急に検討しておく必要がある。生産者はこれまで出荷できていたものが出荷できなくなる可能性がある。流通業者はいま抱えている在庫で売ることができなくなるものが出てくる可能性がある。こうした事態に備えて、しっかり準備をしてくことが必要になるだろう。

 消費者も、業界から圧力がかかって、厚生労働省が規制値を食品安全委員会の評価よりも緩いものにしてしまわないかどうか、検討の行方を監視していく必要があるだろう。当面食品安全委員会と厚生労働省のホームページから目が離せない。
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by touten2010 | 2011-10-23 23:09 | 食品基準値 | Comments(0)

原子力帝国の逆襲が始まった

原子力帝国の逆襲が始まった

 民主党政権が急速に脱原発路線から原発推進路線へ転回しつつある。

10月5日の朝日新聞の記事によるとこうだ。

///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
前原誠政調会長は4日、原発定期検査後の再稼動やエネルギー政策を議論する党のプロジェクトチームの座長に大畠章宏元経済産業相の起用を発表。大畠氏は日立製作所出身で、原発プラントの設計に関わっていた党内きっての原発推進派だ。・・・管直人に近い脱原発派のベテラン議員は、「露骨な人選、電力系労組を入れた連合の脱原発の結論は重い」と警戒感を強めるが、藤村修官房長官は4日の記者会見で、連合の方針転換について「国民各層のお声の一つとして今後検討していく」と突き放した。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 ここでいう「連合の方針転換」とは、4日の大会で示された「中長期的に原子力への依存度を低減させ、最終的には原子力に依存しない社会を作る」という方針であるが、その転換も実は不透明なもので、古賀会長は産経新聞の記事によると、「脱原発や原発推進という二項対立の議論を行うべきではない」と発言したようで、脱原発を宣言したというにしては、かなり及び腰な発言である。

・岐路に立つ連合 民主党とじわり距離 内部の軋轢も表面化 2011.10.4 23:40 Msn 産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111004/stt11100423420013-n1.htm

 朝日新聞の取り上げている、官房長官の「冷たく突き放した」という発言はどのようなものだったのだろうか。
官房長官の記者会見の動画を聞いて、発言を活字に起こしてみると、このような発言だった。

・平成23年10月4日(火)午後-内閣官房長官記者会見

http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg5353.html


*官房長官
連合が脱原発依存の社会を目指すという方針を今日明らかにされたと、古賀会長が、中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減し、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会を目指す必要がある、まあそういう内容であったと思います。
(以下原稿に目を落として棒読み)政府としては2030年までをにらんだ現在のエネルギー基本計画を白紙から見直すということにしておりまして、来年の夏を目途として新しい計画を打ち出そうとしております。エネルギー安全保障の観点や費用分析などを踏まえ、国民の皆様が安心できる中長期的なエネルギー構成のあり方を、幅広く国民各層のご意見を伺い、また総合エネルギー庁、原子力政策大綱策定会議と連携をしながら、エネルギー環境会議を中心に冷静に検討をしていくこととしております。様々なご意見を幅広くお伺いすると、そして検討を進めていくという姿勢でおります。

*記者
 連合が新しい方針を出されたということについての、政権の方針への影響というのはどうなりますか。

*官房長官
あの、国民各層のお声の一つとして、連合の皆さんのご意見も踏まえて、今回検討していくということになると思います。

 私としては、余り冷たい印象は受けかったが、朝日新聞の記者に冷たく聞こえた理由は何だろう。そう言えば、野田総理大臣は就任時に国会で所信表明演説の中で、「中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきです。」言っていたはずである。

総理発言時と方針が変わらないとすると、「我々のスタンスは連合の新しい方針と同じです」と言うはずであって、そう言わなかったということは、民主党は野田総理が所信表明で示した方針を早くも後退させて、原発推進の方針に転換したということなのだろう。朝日新聞の記者はそうした裏事情が解かっているので、「ああこれは冷たく突き放している発言だな」という解釈ができたということなのだろう。 

(参考)
・平成23年9月13日(火曜日)衆議院本会議 野田総理大臣所信表明演説(抜粋)
原子力発電について、脱原発と推進という二項対立でとらえるのは不毛です。中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべきです。同時に、安全性を徹底的に検証、確認された原発については、地元自治体との信頼関係を構築することを大前提として、定期検査後の再稼働を進めます。

 それよりも、ここで重要なのは、官房長官の発言に出てくる「エネルギーの安全保障」「費用分析」「国民の皆様が安心でいる中長期的なエネルギー構成」といった言葉は、全て、これまで原発推進の必要性を経済産業省や電力会社が説明する際に語られてきた言葉であって、「原子力への依存度を低下させていく」という方向性は全く見えないということだ。

「エネルギーの安全保障」「国民の皆様が安心でいられる中長期的なエネルギー構成」とは「石油にばかり頼っていたのでは危険だから原発を推進すべきだ」ということを言う際に、「費用分析」とは、「原発はもっとも発電コストの安い電力を生み出すものだから推進すべきだ」ということを言う際に、原発事故が起きるまえにいつも経済産業省・電力会社が言ってきた言葉である。

動画を見るとここの部分の官房長発言は、ほとんど終始原稿から目を離さず、全くの原稿棒読みであるであることが解かる。この点も重要だ、恐らく経済産業省出身の官僚が用意した答弁をそのまま読んでいるということだと思われる。

野田政権は既に経済産業省・ひいては東京電力の軍門に下った、いや積極的に原子力発電推進に転換し、原発事故前の時点に時計の針を戻したということは確実なようだ。

 そういえば、9月22日の総理の国連スピーチでは既に「原発への依存度を可能な限り引き下げていく」という発言は消滅していた。

・原子力安全及び核セキュリティに関する国連ハイレベル会合 野田総理大臣スピーチ 平成23年9月22日

http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/201109/22speech.html

9.日本は、原子力発電の安全性を世界最高水準に高めます。
10.日本は、原子力利用を模索する国々の関心に応えます。
13.エネルギーは、経済の「血液」であり、日常生活の基盤です。広くは、人類の平和と繁栄を左右します。我々の世代だけでなく、子々孫々の幸福の礎石です。次なる行動について長く迷い続ける余裕はありません。科学技術を最大限に動員し、合理性に立脚し、そして、早急に次なる行動を定めなければなりません。

 それどころか、今になってよくよく振り返ってみると、このスピーチは「感情的に脱原発を行うのではなく、迷わず合理的に、原発を推進すべき」と言っているのであって、脱原発の方向性は微塵もあらわされていないという見方もできる、というか、現時点での流れを見てさかのぼって考えてみると、そういう見方しかできない。

このときに既に所信表明で示された「原発への依存度を少なくしていく」という方針は消滅していたということなのだろう。

いやそもそも、国会において所信表明で示された「原発への依存度を可能な限り引き下げていくという方向性を目指すべき」という言葉は、「原子力発電について、脱原発と推進という二対立でとらえるのは不毛」という言葉で全総理の打ち出した脱原発方針に対して、「脱原発はしません」という方針を明示しつつ、原発の「定期検査後の再稼動を進めます」ということを言うための、前ふり、枕言葉に過ぎなかったのではないか。「可能な限り」という言葉で、将来的に「原発の比率を低くとどめておくのは難しいので、原発を推進しその依存度を高めていく」という方向転換を担保したということなのだろう。

このままだと、官房長官の言っている「来年の夏を目途とした新しいエネルギー計画」で、「矢張りこれからも原発はどんどん作っていきます」という方針が出てくることは目に見えている。

 したがって、今放射能の不安を感じている方たちは是非、以下の事実を踏まえて行動して欲しい。

1.今の民主党政権、特に野田・前原体制が続く限り、原発の推進へ政府が突き進むことは確実である。又元々原発を推進していた自民党が政権に返り咲いても、原発が推進され続けることは確実である。

2.今の野田・前原体制は、各種の演説や記者会見の場における細かな言葉の変更により、元々電力会社におもねっているマスコミとタッグを組んで、なし崩しに原発推進への方向転間を実現するつもりである。マスコミの役回りは「民主党にも自民党にも労働組合にも原発推進派が多いんだから、脱原発なんてそもそもできるわけないよね」とあきらめムードの世論を形成していく「地ならし」役である。

 つまり、「いつ事故が起こるかわからない原発はもう推進すべきでない」「子ども達に原発の無い明るい未来を引き継ぎたい」と思っている方々は、今すぐに立ち上がって行動しなければならない。油断していると、カエルがすこしづつ浸っている水の温度を上げられると、気がつかずにゆであがって死んでしまうように、いつの間にか「原発反対を考えているのは、少数の人たちだけで、その人たちは政府・電力会社からにらまれて生活の糧さえ奪われ、惨めな生活を送っている」という原発事故前の日本に戻ってしまう。

 野田総理・前原政調会長は
・原発事故はいまだに収束せず、事故原発周辺住民はいまだに家に帰る目処が立たず、各地をさまよっている。
・東日本一体に撒き散らされた放射能は、どこまでどの程度汚染が広がっているのか、まだ全く全容が解明されておらず、食品の放射能汚染も検出され続けていて、汚染が収まる気配が無い。汚染食品を食卓にのぼらせないような手立てもずさんで、得に放射能汚染牛肉の行方は発覚後3ヶ月以上たても、どこへいったのか数分の一しか行方が解明されていない。
 といった状態であり、しかもそれが全く改善の目処がたっていない段階であるにもかかわらず、もう原発推進を打ち出すような政治家なのだということを、国民はしっかり認識しておくべきである。

 雰囲気で脱原発は達成されない。誰かが達成してくれるわけでもない。それを望む一人ひとりが行動を起こさなければ脱原発は達成されない。

 とりあえず、わたしは、官房長官記者会見に対して、以下のような意見をメールで送ろうと思う。

 「民主党政権は、福島原発の事故を反省して、管総理が脱原発の方針を名言したはずである。それを国民に対して意見を図ることもせずに、いきなり原発推進へ方針転換を図るとは、国民を馬鹿にしている。即刻野田総理は退陣すべきだ。民主党政権はいますぐにも衆議院を解散して、原発推進の是非を国民に問うべきである。もう私たちは、子ども達を放射能の恐怖におびえさせ、いつ大事故が起きてこどもたちの未来が全く失われてしまうかもしれないような社会に暮らしていくのは嫌です。いますぐに、民主党は脱原発をしっかり実現してくれる政党に政権を譲り渡してください。

 このブログを読んでいるひとも、是非考えて欲しい。


・連合、原発政策見直しへ 推進から脱原発依存に転換 2011.10.2 21:53 Msn 産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111002/stt11100221550009-n1.htm


・岐路に立つ連合 民主党とじわり距離 内部の軋轢も表面化 2011.10.4 23:40 Msn 産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111004/stt11100423420013-n1.htm

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by touten2010 | 2011-10-09 16:38 | Comments(0)

福島原発事故の後、全ての日本人が放射能と向き合って暮らすことを運命付けられた。その一人として日々の放射能の情報を整理し、これに向き合う。
by touten2010
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