放射能に向き合う日々

<   2012年 02月 ( 5 )   > この月の画像一覧




来年の福島の米はもう大丈夫?

東大が「来年の福島の米からは、もう高い放射性セシウムは検出されないだろう」という希望に満ちた研究成果を発表した。

・第二回放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会
-東日本大震災に関する救援・復興に係る(東京大学)農学生命科学研究科の取組み-
2012年2月18日(土) 13:00~17:00
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/event/20120218.html

・水田における土壌から稲への放射性セシウム移行のメカニズムについて [要旨]
塩沢 昌 (東京大学大学院農学生命科学研究科・生物・環境工学専攻・教授)
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/event/20120218.html

「原発事故直後に水田農地表面を覆っていた雑草・稲ワラ・落ち葉などの有機物に降下した放射性セシウムが付着。
有機物に付着した放射性セシウムは土壌中にあっても粘土粒子へ固定化されず、有機物が土壌中で分解する過程で高濃度の可溶性セシウムとして土壌水中に放出され、 これが粘土粒子に固定化される前に稲の根から吸収された。」という「有機物説」を提唱。
 「有機物説」が正しければ、放射性セシウムを付着・吸収した有機物はこの一年間で分解が進み土壌に強く固定されるため、次期は稲への移行は大きく減少すると予測している。

 同時に、福島県の玄米500Bq/kg越え水田および移行係数が大きい(約0.1以上)水田等の調査から、玄米への高い放射性セシウムの移行の原因は用水経由の流入によるものではないと説明。これは、「沢水などの流入により、山林から放射性セシウムが供給された可能性がある。」と用水経由の流入を要因の一つと推定した農林水産省と福島県の要因解析を否定した形となっている。

・暫定規制値を超過した放射性セシウムを含む米が生産された要因の解析(中間報告)
平成23年12月25日 福島県 農林水産省
http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/kenkyuukaihatu/gijyutsufukyuu/05gensiryoku/240104tyukan.pdf
p.3 また、土壌の放射性セシウム濃度が5,000 Bq/kgを超える地点でも、米の放射性セシウム濃度が暫定規制値を大きく下回る事例もあるなど、土壌の放射性セシウム濃度と玄米の放射性セシウム濃度との間には明確な相関関係は見られなかった。
p.6,7 カリ肥料の施用量がなかったことから土壌中のカリウム含量がなく、放射性セシウムが根から吸収され易かった可能性がある。
p.7 流入により、山林から放射性セシウムが供給された可能性がある。

 農水省や福島県のように、「放射性セシウムで高濃度に汚染された山林からの流入水により田の水に含まれた放射性セシウムを稲が吸い上げた」というシナリオだと、山林の放射能汚染が低くなっていくというシナリオがまだ無いことから、一度収穫米から高い放射性セシウムが検出された水田は、長期間に高い放射能汚染米を産出し続けるという予測になる。

 これが今回の東大の「有機物説」による予測だと、要因は原発事故により汚染され田の土壌の中に既にある有機物だけなのだから、その有機物が分解され含まれた放射性セシウムが土壌中の年度に固定化されてしまえば、稲の根が吸い上げることはできなくなり、米から放射性セシウムが検出されることは来年からもうなくなるというのだ。

 「有機物説」も今のところ仮説に過ぎないが、これが事実であることを祈るのみである。

 さて、東大はこうした研究成果を出すとともに、今年高い放射性セシウム米が検出された福島の田でも来年度も稲の作付けを収穫物を流通させない「試験作付け」として行うべきだと提言している。

・「玄米の放射性セシウムが1キロ・グラム当たり100ベクレルを超えた地域における稲の「試験作付」推奨に関する提言」
東京大学大学院農学生命科学研究科長澤寛道研究科長 平成24年2月13日
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/20120213teigen.pdf
「作付をしないことにより、稲作環境を荒廃させ、働き手を失うことは論を俟たない。」とし、「試験的作付と位置づけて推奨すべきである。もちろん、その際の収穫物は流通させない策を講じる必要がある。」と主張。

 しかし、収穫物を流通させないことを前提とすると、「収穫してしまった米をどうするのか」「苗代、肥料代、機械の燃料代、労賃等かかった費用を誰がまかなうのか」といった問題がでてきてしまう。100ベクレル/kg以上の放射性セシウムが検出された地域は、昭和40年代の旧市町村単位という非常にせまい地域を単位として考えても、相当な広範囲にわたる。その広い地域で産出された稲の生産費を全て「試験費用」として国の資金や東京電力の負担で賄うのは非現実的な想定だろう、それは作付けしなければ発生しない費用であり、実験のためだけにそのような費用を負担することは国も東京電力もできないだろう。

 問題は来年度収穫された米に高い放射能が含まれてしまう可能性は無いとは言えないこと、そしてその米が食用米として流通してしまう可能性があることである。
それなら、作付けした米はすべて収穫する前に茎や葉ごと飼料にしてしまう「ホール・クロップ・サイレージ」にしてしまえばよいのである。これなら絶対できた米が収穫されて食用に流通することがないし、農家も生産費を飼料の代金と国からの補助金(戸別所得補償)によりまかなうことができる。

 今回100Bq/kg以上の米が検出されてしまった福島の地域の稲作農家の方々は、本当に次の作付けをしたいのであれば、こういった具体的な提案を国にしていくべきである。
[PR]



by touten2010 | 2012-02-22 22:27 | | Comments(0)

新しい基準値は差し支えないが適当でない

文部科学省の放射線審議会が、食品に含まれる放射性セシウムについて新たな基準値について、2月16日に「差し支えないが厳しすぎる」という禅問答のような答申をしたようである。

・食品の放射能基準は厳しすぎ…文科省審議会、異例の注文 朝日新聞 2012年2月16日
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201202160243.html

答申の内容はまだホームページにのっていないが、当日審議会で配布された資料は既にホームページ掲載されており、「答申(案)」が配布資料に入っているので、ごらんいただきたい。

・放射線審議会(第126回) 配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/shiryo/1316572.htm

資料第126-2号 :乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部を改正する件について(答申)(案)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/attach/1316573.htm
(ポイント既述箇所)
・放射線防護の観点からは、当初は達成可能な比較的高いレベルを参考レベル(目標値)とし、段階的にその数値を下げていき、最終的に規制値として制定することが適切である。一方で、今回諮問のあった食品規格基準は、食品の安全確保のために当初から規制値を基準値として設定したものとなっている。

・「事故の影響を受けた地域社会の適正な社会経済活動を維持し復興するため、放射線審議会としては、今般の東日本大震災に伴う原子力発電所事故により放出された放射性物質に対応するための食品基準値の策定及び運用にあたって、ICRPの勧告 注)を踏まえ、ステークホルダー(様々な観点から関係を有する者)等の意見を最大限に考慮すべきであると考える。

注)放射線防護における最適化:国際放射線防護委員会(以下「ICRP」という。)勧告Pub.103(203)では防護の最適化の原則について、被ばくする可能性、被ばくする人の数及びその個人線量の大きさは、すべて、経済的及び社会的な要因を考慮して、合理的に達成できる限り低く保たれるべきである旨を示しており、また、ICRP勧告Pub.111(84)では、放射性物質も含めた食品の品質の良い管理のためには、農業生産を維持する必要性、農村地帯の復興、影響を受けた地域社会の適正な生活及び消費者一人一人の選択についての重要性を決める際に、ステークホルダー及び一般住民の代表者をそれぞれ関与させるべきである旨を示している。

資料第126-3号 :水道法に規定する衛生上必要な措置等に関する水道水中の放射性物質の目標の設定について(答申)(案)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/attach/1316574.htm

この答申案の中には「差し支えない」「異論は無い」といった言葉はあるが、「厳しすぎる」という言葉は見当たらない。

それではどうしてこの答申は「厳しすぎる」と言っているということになるのだろう。

それは、答申の中で「放射線防護の観点からは、当初は・・・高いレベル・・とし、段階的にその数値を下げていき、最終的に規制値として制定することが適切である。一方で、今回諮問のあった食品規格基準は、・・当初から規制値を基準値として設定したものとなっている。」という既述に以下のように適切な言葉を追加していくことによって解かる。

「「放射線防護の観点からは、当初は・・・高いレベル・・とし、段階的にその数値を下げていき、最終的に規制値として制定することが適切である(それが常識なんだよ!)。一方で(それなのに)、今回諮問のあった食品規格基準は(放射線防護の世界の常識を無視しやがって)、・・(最初は高いレベルとせずに)当初から(最終的な)規制値を基準値として設定したものとなっている(放射線防護の科学的な原則を無視しやがった許せないシロモノである)。」

前座長の中村氏が弟子達に「厚生労働省の新たな基準値についてのパブコメに反対メールを出せ」と指令したことがニュースとなっているが、それは正義感からくる怒りがもたらした行動なのであって、決して原発の利権を守るためではないだろう。今回の新しい基準値の考え方は放射線防護の学問を全面否定するものであり、放射線防護の研究者の存在を全否定するものなのだから、それぐらい怒って当然である。

 食品に含まれる放射線の基準値は、厳しくすればするほど良いと消費者としては望ましいと思うかもしれないが、一方で生産者の損害は大きくなる。また基準値を厳しくすれば、その分測定の精度をあげなければならなくなり、測定のコストは増大し、測定はなるべく省略されることになり、測定件数が減少することになるだろう。こうしたジレンマを解消するのは「科学的議論」しかありえない。科学を無視しているという点で、今回の新たな基準値は問題である。
[PR]



by touten2010 | 2012-02-17 22:50 | 食品基準値 | Comments(0)

沖縄ソバ238Bq/kg放射性セシウム検出事件の怖さはどこにあるか

突然、日本で放射能汚染と一番無縁と思われる沖縄で、沖縄そばから258Bq/kgの放射性セシウムが検出された。

沖縄県のホームページには、理由の説明がほとんど書かれていないが、厚生労働省のホームページ掲載資料の欄に掲載された記述によると、「放射線量の高い薪をろ過した水をかんすい代わりに添加した」ことから、放射性セシウムが食品に汚染されたようである。

食品中の放射性物質の検査結果について(第317報)平成24年2月7日
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000225nz.html

No.289 沖縄県糸満市 放射線量の高い薪の灰をろ過した水をかんすい代わりに添加した食品沖縄そば(麺) から258Bq/kgの放射性セシウム検出

【国の定める指標値を超える放射性セシウムの検出が疑われる薪等について】沖縄県
http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=69&id=26325&page=1

国の定める指標値を超える放射性セシウムの検出が疑われる薪が県内で流通していることについて2月7日沖縄県
http://www3.pref.okinawa.jp/site/contents/attach/26325/siryou%20120207.pdf
→岐阜県の流通業者から購入した薪を燃やした灰から最高39,960Bq/kgの放射性セシウムを検出

国の定める指標値を超える放射性セシウムの検出が疑われる薪が県内で流通していることについて(第2報)平成24年2月10日沖縄県
http://www3.pref.okinawa.jp/site/contents/attach/26325/kisyasiryou%20120210.pdf
灰及び薪を利用して調理した食品から258Bq/kgの放射性セシウムを検出(厚生労働省が公表している品目名(沖縄そば)をなぜか沖縄県は隠している)

沖縄県の公表資料からは、薪を燃やした灰から検出された放射性セシウムは4万Bq/kg近く、非常に汚染度の高いものであったようである。これだけ高いと食品への移行率がひくら低くても、食品の汚染はかなり高くなってしまう。
そして「放射線量の高い薪」は、沖縄の業者が岐阜県の業者から購入したもののようである。

次に以下の岐阜県の資料を見て欲しい。

国の定める指標値を超える放射性セシウムの検出が疑われる薪が県内業者から流通したことについて(第3報) 岐阜県 2月8日
http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kocho-koho/event-calendar/sonota/kensanzai/maki-ryutuu3.html
→県内業者が福島県の業者から購入した薪から440Bq/kgを検出

国の定める指標値を超える放射性セシウムの検出が疑われる薪が県内業者から流通したことについて(第2報)
岐阜県 2月7日
http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kocho-koho/event-calendar/sonota/kensanzai/maki-ryuutu2.html


国の定める指標値を超える放射性セシウムの検出が疑われる薪が県内業者から流通したことについて
岐阜県 2月6日
http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kocho-koho/event-calendar/sonota/kensanzai/maki-ryutu1.html
→岐阜県内の流通業者が福島県の業者より購入したナラの薪より119.6/Bq/kg,149.6Bq/kgを検出

これによると、沖縄そばの放射能汚染の要因となった「薪」は岐阜県の流通業者が福島県の業者より買ったものであり、その汚染度は農林水産省が設定している指標値(40Bq/kg)の3倍~5倍という高い汚染度のものであったことが解かる。

(参考)
調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値の設定について 農林水産省 平成23年11月2日
http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/shintan1.html
調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値を(1)薪 40Bq/kg(乾重量)(2)木炭 280ベクレル/kg(乾重量)と定め、生産者に向け「薪又は木炭が指標値を超えていないことを確認した上で販売又は譲渡すること」と指導

沖縄そばの汚染そのものは、現状の食品衛生法上の暫定規制値を下回っているものではないし、消費者が恐れを抱く必要性は無いと思われる。

問題は、農水省が決めた「調理加熱用の薪」の指標値を大幅に上回った「薪」が調理加熱用に堂々と売られ、全国流通していることである。

一方、環境省の調査によると、宮城県内の一般家庭の薪ストーブの灰から、6万Bq/kg近い放射性セシウムが検出されており、福島県内の薪ストーブの灰からも4万Bq/kgを超えたものが見つかっている。

平成24年2月10日環境省
宮城県仙南地区における一般家庭等で使用される薪及び薪の灰の調査結果について
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14805&mode=print
宮城県仙南地区の一般家庭等で使用されている薪の灰から1,180Bq/kg~59,000Bq/kgの放射性セシウムを検出
環境省では、引き続き東北地方及び関東地方の約70箇所において薪及び薪の灰の放射能濃度の調査を行い、その結果を取りまとめて公表するとしている。
→放射能濃度測定結果一覧表【薪】
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=19195&hou_id=14805

薪ストーブ 等を使用した際に発生する灰の取扱いについて 環境省 平成24年1月19日
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/no120119001.pdf
福島県内の一般家庭で11月に燃やした薪ストーブの灰から最高43,780Bq/kgの放射性セシウムを検出
汚染状況重点調査地域※においては、一般家庭の薪ストーブの灰を庭や畑にまいたりさせず、市町村等が一般廃棄物として収集し、放射能濃度の測定を行った上で処分を行う様に指示。

「薪ストーブ等を使用した際に発生する灰の取扱いについて」に関するQ&Aについて 環境省 平成24年1月23日
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/no120119001_qa.pdf

※放射性物質汚染対処特措法により地域の平均的な放射線量が1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域を含んでいることを基準として定められた岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉県内の102市町村


(参考)
平成23年12月19日 環境省
放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染廃棄物対策地域、除染特別地域及び汚染状況重点調査地域の指定について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14598

農水省が定めた指標値を大幅に上回る高い放射能に汚染されている薪は、全国に広く流通しており、全国の一般家庭の薪ストーブや、ピザ屋のピザ焼き釜などで、数万Bq/kgの高濃度放射性セシウム汚染灰を生産し続けている可能性が非常に高い。

政府は一体何をしているのだろうか?

環境省は1月19日公表の「薪ストーブ 等を使用した際に発生する灰の取扱いについて」により、汚染状況重点調査地域の関東・東北8県102市町村において、一般家庭の薪ストーブの灰は市町村が集めて処分するよう通知を出したが、それだけである。
放射能汚染された薪の流通については、一切規制措置をとっていない。

農水省は沖縄そばの汚染が判明した直後に次のような通知を出した。

平成24年2月10日農林水産省
薪、木炭等の燃焼により生じる灰の食品の加工及び調理への利用自粛について
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/120210_1.html
東北、関東、新潟、長野、静岡の17都道府県で採取された木の薪を燃やして作った灰を料理(アク抜き等)に使わないように呼びかけ。
(一般消費者も周知・指導の対象者となっているが、なぜか消費者団体へは通知が出されていない)

しかし、上記でお示しした11月2日「40Bq/kgを上回る薪を流通させないように」という農水省通知が全く効力を発揮せず、指標値を大幅に上回る薪が全国流通していることが今回判明したにも関わらず、汚染薪の流通防止に関しては、農水省は何も新たな手をうっていないのである。

このように、指標値を上回る放射能汚染度の薪の流通そのものについては、何も手が打たれていないのである。

本当に恐ろしいのは、このように根本的なところで政府が機能していないということである。

薪ストーブを使っている人、料理や茶道で薪や炭を使っている人は、薪や炭を買うときにどこから来たものか業者に確認して、東北・関東の17都県から来たものであれば、放射性セシウムが測定されているのかを必ず業者に確認して欲しい。

薪や炭を使っているピザ屋や焼き鳥屋さんで食事をする人は、店の人にどこで生産された薪や炭を使っているのか、その薪や炭は放射性セシウムが測定されたものなのか確認して欲しい。

炭からピザや焼き鳥に放射能が移行する量はたかがしれているので、不安を感じる必要は全く無いが、消費者は食の安全に関しては事業者に国の規制に従うことを求める権利があるし、事業者が困れば国に苦情が行き、国が動き出さざるをえなくなるだろう。

みんながすこしづつでも行動して、政府を追い詰めていくことが、放射能汚染の拡大を防ぎ、私たちの身の安全を守ることにつながるはずだ。
[PR]



by touten2010 | 2012-02-15 21:54 | 薪・炭・きのこ原木 | Comments(0)

新たなスクリーニング方法の危険性

厚生労働省が以下のように食品中の放射性セシウムの測定方法についてパブリックコメントをかけている。

「食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正」に関する意見の募集について 締め切り2月13日
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?
CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495110356&Mode=0


この測定方法は、食品中の放射性セシウムの基準値を現行の暫定規制値500Bq/kgから100Bq/kgに改正するに伴い、現行のスクリーニング方法が使えなくなるため、新たなスクリーニング方法を導入しようというものである。

それだけ聞くと「なんだそんなことか」と思う方も多いかもしれないが、ここで厚生労働省が示している新たなスクリーニング方法は実は重大な欠陥を抱えているのである。

現行のスクリーニング方法は、

一般食品の暫定規制値 500Bq/kg
スクリーニングレベル 基準値の1/2以上(250Bq/kg)
測定下限値 50Bq/kg 以下 

となっている。
1.つまりゲルマニウム半導体検出器よりも精度の落ちるNAIシンチレーションメータ等でまず250Bq/kgを上回っていないかどうかチェックし、
2.下回っていた場合は500Bq/kg以下であることは間違いないだろうと判断してそれ以上は計測を行わないこととする。
3.250Bq/kgを上回っていた場合は、正確に測れば500Bq/kg以上となる可能性があるので、こんどはきちんと精度の高いゲルマニウム半導体検出器で計測して500Bq/kgを上回っていないかどうか確認する。

という方法である。

以下のホームページで確認してただきたい。

食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について 平成23年11月10日 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001us4f.html

食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について(PDF:321KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001us4f-
att/2r9852000001us94.pdf



これが、パブコメにかけられている新たなスクリーニング方法となると、以下のようになる。

一般食品の新たな基準値 100Bq/kg
スクリーニングレベル 基準値の1/2以上(50Bq/kg)
測定下限値 25Bq/kg 以下

問題は、測定下限値の部分である。
現行では、測定下限値が基準値の10分の1となっているが、新たなスクリーニング方法では、測定下限値が基準値の4分の1となっており、比率が大きく変わっている。

これがどういうことを意味するかというと、一言で言えば、「測定の精度を大幅に下げますよ」つまり「測りかたをいい加減でいいことにいますよ」ということである。

農水省のホームページに掲載されている、以下の資料を見ていただきたい。

放射性物質の基礎知識 農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/saigai/kiso_chishiki.html

食品等に含まれる放射性物質(PDF:283KB)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/saigai/pdf/120125_shoku.pdf

この農水省作成資料「食品等に含まれる放射性物質」の16ページに、以下の通り二つのことが書かれている。

・食品安全の分野では、世界的に、検出下限を基準値の1/10以下、定量下限を基準値の1/5以下とするべきとされています。

・(例)定量下限を50 Bq/kgから20 Bq/kgにしようとすると、測定時間は約6倍になる。p.16

新基準値が100Bq/kgであるから、この農水省資料で言っている「世界的ルール」に従えば、検出下現値はその1/10以下、つまり10Bq/kg以下にしなければならないはずである。

しかし、今回厚生労働省が示しているスクリーニング方法の検出下現値は、「世界的ルール」に従った検出下限値よりも5倍も高い50Bq/kgで良いとしているのである。

農水省作成の「食品等に含まれる放射性物質」に書かれている通り、「世界的ルール」に従って、検出下限値を50Bq/kgから10Bq/kgにしようとすると、測定時間が大幅にかかることになり、測定コストは激増してしまう。

なおかつ、NAIシンチレーション等の簡易な機器でそのような10Bq/kgまで果たして図れるのか?といった問題がでてきてしまうのではないかと思われる。

そこで、仕方がないので、「大幅に精度を下げた測りかたで良いことにしましょうよ、それでいいですよね」と厚生労働省は言っているのである。

精度が下がれば、事業者はいい加減な測定値に振り回されることになる、実際は基準値を下回っていても、「上回っている」という数字が出る確率が高くなる。

そうなれば、いい加減な数字に振り回されては困るので、精度の低い測定による被害を下げるために、なるべく計測しないでおこうということになる。

そして、放射能汚染の実態が見えなくなってしまい、結局消費者のリスクは上昇してしまう。

新たなスクリーニングの方法は、食品を作る側にとっても、消費する側にとっても、大変な被害をもたらすことになる。

いい加減な計測値で出荷制限や回収・廃棄をするくらいだったら、新基準値は250Bq/kgにして、検出下限値をその10分の1の25Bq/kgにして、計測を正確にした方が、消費者にとってもまだましである。

厚生労働省もそうしたことを十分認識しているから、「パブコメをかけたけど、意見が出てきませんでした」とアリバイ作りをしようとしているのである。

このような事情であるから、このパブコメは「難しそうだから」と見過ごしてしまわないで、なるべく一人でも多くの人に意見を出してもらいたい。

締め切りは2月13日である。
[PR]



by touten2010 | 2012-02-11 22:42 | 食品基準値 | Comments(0)

外部ひばくと内部ひばくの調整者は何をしているのか

放射線審議会(第121回)平成23年12月27日で以下の通りのやりとりがあることから、外部ひばくと内部ひばくの調整が行われないまま、食品に含まれる放射性セシウムの基準値や除染の基準値など各種の放射線被曝規制値がさだめられつつあると以前のブログでコメントさせていただいた。

【小松委員】  全ての被ばく経路を考慮し、住民の被ばく線量をどうしようとかいった議論の場はどこかで設けられるのか。
【森口(厚生労働省)】  それは、内閣官房の放射性物質汚染対策室と、その下の顧問会議であり、各省庁からの情報を統合して判断されていく形になると思う。

本当に何も議論されていなのかを検証するために、「内閣官房の放射性物質汚染対策室と、その下の顧問会議」が実際に何をしているのかをチェックしてみた。

内閣官房の放射性物質汚染対策室が運営していると思われる内閣府のサイトは以下の通りである。

・放射性物質汚染対策
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/news_111012.html

放射性物質汚染対策連絡調整会議という各省庁の連絡会議が開催されている。

しかし、これまでに以下の通り2回しか開催されていないようである。

第1回:8月25日
第2回:10月7日

資料を見ると、確かに放射性物質汚染対策室が放射性物質の問題を総合的に統括する司令塔となることが明記されている。

資料2 放射性物質の汚染拡大防止に向けた推進体制の構築
放射性物質汚染対策室
[室長]内閣官房副長官補
[業務]放射性廃棄物の問題や食に関する放射性物質の問題などを総合的に統括する司令塔機能

そして、以下の論点資料を見る限り、食品の放射性物質の規制(内部ひばく)と汚染土壌を除染する際の基準(外部ひばく)の調整を行うことになっているようだ。

放射性物質汚染対策連絡調整会議資料5 放射性物質汚染対策推進のための論点(メモ)

target="_blank">http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/osen/0825siryou5.pdf

3.汚染拡大の防止のための規制の調整
①作付制限、出荷制限等と、放射性物資をおびた農畜産物や
食品の規制との間の相互調整
②食品安全対策、風評被害対策の総合的なパッケージの作成
③上記規制と、汚染土壌を除染する際の基準の調整

それでは、統括をする責務があるもう一つの当事者である「放射性物質汚染対策顧問会議」はどうなっているのだろうか?

こちらも2回しか行われていない。しかも、議事録が公開されていない。

・放射性物質汚染対策顧問会議
第1回:8月25日
1.開会
2.細野大臣挨拶
3.放射性物質汚染対策顧問会議の開催について
4.原子力被害への対応について
5.その他
6.閉会

第2回:11月2日
議事次第
1.開会
2.食品に含まれる放射性物質の食品健康影響評価について
3.食品に係るリスク管理措置について
4.除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策について
5.低線量被ばくのリスク管理について
6.閉会

2回目の以下の資料によると、顧問会議の下にワーキンググループが設置されたようだ。

資料4 低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループの開催について(案)
target="_blank">http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/osen/k_dai2/siryou4.pdf
放射性物質汚染対策顧問会議(以下「顧問会議」という。)の下で、低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ(以下「WG」という。)を開催する。

そしてこのワーキンググループは8回開催されている。活発な議論が行われているようだ。しかも動画で討議の模様が見れるようになっている。

低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/news_111110.html
最終日は第8回会合:12月15日で、議事次第によれば、「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループとりまとめ」を決定している模様

このワーキンググループは12月22日に報告書を発表しているようだ。

その内容では内部ひばくと外部ひばくの調整が図られているのであろうか。

低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書(平成23年12月22日)
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/111222a.pdf
・除染の実施に当たっては適切な優先順位をつけ、参考レベルとして、例えばまずは2年後に年間10ミリシーベルトまで、その目標が達成されたのち、次の段階として年間5ミリシーベルトまでというように、漸進的に設定して行うこと。
・子どもの生活環境の除染を優先するべきである。・・・通学路や公園など子どもの生活圏についても徹底した除染を行い、長期的に追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下とすることを目指すこと。
・子どもの食品には特に配慮し、放射能濃度についての適切かつ合理的な基準の設定、遵守を行うべきである。

外部ひばくについては長期的に年間1ミリシーベルト以下にするように提言している。
しかし、食品の規制については、「子どもの食品には特に配慮し」と言っているものの、「適切かつ合理的な基準の設定、遵守を行うべき」とし、具体的な線量については全く言及せずに、ワーキンググループを閉じてしまっている。

この報告書発表と同日で、厚生労働省が「一般食品100Bq/kg」という基準案を決定している。

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会資料
(平成23年12月22日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yw1j.html
→一般食品100Bq/kg 乳児用食品・牛乳50Bq/kg等の新基準値の部会案が決定されている。

基準案の決定の後で、ワーキンググループの報告書が発表されたりすると、外部ひばくと内部ひばくの調整から逃げていることが明らかになってしまってみっともないので日付をあわせたという印象を受けるのは私だけだろうか?

いったいいつになったら誰が外部ひばくと内部ひばくを総合的に勘案してくれるのだろうか?
[PR]



by touten2010 | 2012-02-06 22:07 | 食品基準値 | Comments(0)

福島原発事故の後、全ての日本人が放射能と向き合って暮らすことを運命付けられた。その一人として日々の放射能の情報を整理し、これに向き合う。
by touten2010
プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
食品基準値
全般
薪・炭・きのこ原木

堆肥・落ち葉・剪定枝

タケノコ
水産物
tya

がれき
山の幸
クリ・木の実・果実
2012年12月衆議院選挙
その他農産物
放射能汚染水の海水流出
廃炉への行程
小泉銃一郎と進一郎
原子力産業
生態系への影響
火山と原発
核兵器
福島第一原発の状況
健康への影響
原発訴訟
イベント
未分類

フォロー中のブログ

最新のコメント

メモ帳

最新のトラックバック

venuscozy.com
from venuscozy.com
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
原発に対するテロについて
from 御言葉をください2
タコな話の数々
from ミクロネシアの小さな島・ヤッ..

ライフログ

検索

ブログパーツ

外部リンク

ファン

ブログジャンル

画像一覧