放射能に向き合う日々

<   2013年 01月 ( 1 )   > この月の画像一覧




食品の放射能汚染に対する消費者の不安を「風評」と決めつける安部政権

原発推進の自民党政権は、「原発の新設については慎重に検討する」と総理自ら発言するなど、6月の参議院選挙までは、脱原発を望む世論の反発を避けるために急激な方針転換を目立たせることはないように配慮しているようだ。

 しかし、その政策においては、すでに原発推進の姿勢が赤らさまにでてきている。

平成25年1月11日、安倍総理は総理大臣官邸で、第2回となる日本経済再生本部を開催し、日本経済再生に向けた取組みの第1弾として、「緊急経済対策」を取りまとめ、ついで閣議でこれを決定した。会議の安部総理の発言によると、これをもととして補正予算がとりまとめられるようである。

平成25年1月11日
日本経済再生本部
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/actions/201301/11keizaisaisei.html

「日本経済再生に向けた緊急経済対策」について 平成25年1月11日 閣議決定
http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2013/0111_01taisaku.pdf

この中に取り上げられている、食品の放射能汚染に対する消費者の不安への対応は以下の通り、一貫して「風評被害対策」と位置付けられている。

1. 東日本大震災からの復興加速
(3)原子力災害等からの迅速な再生の推進
風評被害の早期解決を含む農林水産物等の振興支援 p.5
・農産物等の風評被害対策(復興庁) 

2.地域の特色を生かした地域活性化
(3)農業の体質強化など地域の特色を生かした地域経済の活性化と住みよい地域の構築の加速
・地方消費者行政の活性化:食品と放射能に関するリスクコミュニケーションの推進等(消費者庁)
p.19 

消費者庁の対策は「リスクコミュニケーション」という名称となっているが、消費者庁担当森大臣の1月8日会見での発言では、これは一貫して「風評被害対策」と言及されている。

森内閣府特命担当大臣記者会見要旨
(平成25年1月8日(火)10:55~11:17 於)消費者庁6階記者会見室)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/mori/130108d_kaiken.html

(関係発言抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 閣議の後、日本経済再生本部、これは全閣僚がメンバーでございますが、これの初会合が開催をされました。
 私からは3点発言をいたしました。
 まず日本経済再生の鍵を握る消費の拡大に向けては、消費者が安心して消費できる環境を整備することが必要不可欠である。こうした観点から被災地の復興にも資する風評被害対策や地方消費者行政の活性化について、今回の緊急経済対策の中にしっかり位置づけてもらいたい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次に、新しく「食品と放射能に関する消費者理解増進チーム」を設置いたしましたので御説明をいたします。
 食品と放射能に関するコミュニケーションの強化を進め、風評被害の防止を図る、これが入閣時の総理指示書でございますけれども、これを図るための体制強化として、私の指示により昨日、「食品と放射能に関する消費者理解増進チーム」を消費者庁に設置いたしました。構成員は消費者安全を担当する審議官をリーダーとし、消費者政策課長、消費者安全課長、地方協力課長など10名ほどでございます。
 このチームではリスクコミュニケーションの強化やその他消費者の理解の増進に関する業務を行うこととしており、特に消費者の意識の実態についてしっかり調査をしてほしいというふうに指示をいたしました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
消費生活相談体制の維持・充実などを引き続き図るとともに、リスクコミュニケーションの積極的展開を促進し、風評被害の防止を図ってまいりたいと考えています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大臣のお話であった促進チームについてなんですけれども、その具体的な目標、目的をもう一遍教えていただけますでしょうか。

増進チームですね。増進チームでございますけれども、先程申し上げたように、消費者担当大臣の私に対して総理から特に指示書という形で文書で御指示がありました。食品と放射能に関するリスクコミュニケーション、この強化を進めて風評被害の防止を図ることという指示がありましたので、その観点から、特に消費者と、それから生産者、現場の意見を吸い上げて、風評被害の防止を図っていく、消費者の理解を増進していくという施策を実現するためにチームを組みました。そういう目的でございます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先程風評被害の件がありましたが、これ大臣どのようなものが風評被害とお考えかと。というのは漠然と怖いという人とか、あるいは数値を分かった上でその数値でいいのかというような不安もあったり、その辺りのことを先程大臣はおっしゃったような意識調査、アンケート調査なりをして捉えていこうと考えていらっしゃるのか。大臣の認識と、これからそれをどうしていきたいという部分をもう一度伺えますでしょうか。

風評被害というのはその全てを指します。政府が安全であると数値を決定をしました。それに対する疑問、又は不安というものもあると思います。

そういったものも含めて調査をしてまいります。私は、今までの政権が様々な数値を発表してまいりました。この食品のことだけではなくて、例えば子供たちの校庭の安全性、これについてはどこまでであるという数値でありますとか、それから避難地域を決める線引きでありますとか、いろいろな決定がなされてきました。そのどれもが難しい決定であり、初めての決定であったと思いますけれども、それに対して非常に福島県及び近県の住民の皆様が大きな不安を抱いている。決定自体に、数値自体に疑問を抱いているということも事実です。ですから、科学的な裏づけをきちんととった上で、それを示して御理解をいただく。それに、根源となるものはやはり政治への信頼だと思います。政府が、国が決めたということに対して信頼をしていただくということを今失われたこの状態の中から一つ一つの施策を積み上げていく中で実現してまいりたいと思っています。それも含めて風評被害の解消に向けて消費者の意識調査をしてまいりたいと思っています。

///////////////////////////////////////////////////

森大臣は基準値の根拠をしっかり説明すれば消費者の不安を解消すると思っているようだが、それなら環境からの外部被ばくを基準値まであびて同時に食品からの内部ひばく基準値まであびた場合、果たして健康に悪影響が出ないのかどうかしっかり説明してもらいたいものだ。この点はこれまで何百回ともたれたリスクコミュニケーションの場で多くの消費者がさんざん指摘してきたことだが、いまだかつて説明がされたことが無い。

 また、消費者の不安は国の基準値に対する不安よりも
 
1 食品の放射能検査がきちんと行われず、基準値を超えて放射能汚染されている食品が野放しで流通しているのではないか
2 農林水産物が放射能で汚染されないように生産者がきちんと生産管理していないのではないか、政府の指導が不徹底なのではないか

 といった不安の方が大きいと思われる。

 このうち1については、各県の食品放射能汚染は極端に検査数が違い、検査体制の精度がバラバラであるにもかかわらず、その状態は放置されている(たとえば福島県の福島市とその隣接市町村である宮城県の各市町村の検査サンプル数は天と地ほども数が異なる。県境・市境を超えただけでサンプル数を極端に少なくしてよいというのは誰が見ても杜撰な検査体制だ)といった「検査体制の不備」が厳然としてあることから、消費者の不安は「事実に基づくもの」であって風評ではない。

 2については、
(1)過去に生産者に対して放射能汚染された飼料を牛に与えないように農水省が指導していたにもかかわらず、その指示が徹底されず放射能汚染された稲わらの流通が放置され現行基準値の10倍以上に放射能汚染された牛肉が日本中に流通し、その問題が判明したのちも生産者に対する指導が徹底できないのでやむなく全ての牛をとと畜して肉にした段階で放射能汚染検査を行わざるを得ない状況になり、その体制がいまだに改善されずに全頭検査が続けられている。
(2)私が過去にブログで何度も取り上げたように、とんでもなく高い放射能で汚染された堆肥が南は沖縄まで全国流通し、しかも半分近くの県では流通堆肥の放射能汚染の検査が行われず問題が放置されている。
 といったことから、やはり消費者の不安は「事実を根拠としたもの」であって、「風評」ではありえない。

 「リスクコミュニケーション」は、定めた基準値の根拠となっている「リスク評価」を説明するだけでなく、本来きちんとした「リスク管理措置」が行われていることを説明し、消費者の不安を解消していくものである。食品安全基本法の枠組みはそうなっている。

 「リスク管理措置」事体が全く不徹底な中で、消費者の不安を「風評」と決めつけ、対策を行っても、消費者の不安が解消するわけがない。

 なぜ本来消費者を守る立場にあるはずの消費者庁が、リスク管理の徹底を監視して消費者を守ろうとはせずに、放射能汚染を出す側の立場にたって消費者を「間違った知識を持っている人たち」と決めつけ、消費者により被害を受けている「生産者・企業」を助けるために消費者の方を変えようとする「風評被害対策」を行おうとするのだろうか。消費者庁はスタンスを全く「企業の側」に変えてしまっている。

 これは、安部政権が「原発を推進する側」の「企業の論理」を貫徹しているからに他ならない。
 
[PR]



by touten2010 | 2013-01-18 22:47 | 全般 | Comments(0)

福島原発事故の後、全ての日本人が放射能と向き合って暮らすことを運命付けられた。その一人として日々の放射能の情報を整理し、これに向き合う。
by touten2010
プロフィールを見る
画像一覧

フォロー中のブログ

最新のコメント

メモ帳

最新のトラックバック

venuscozy.com
from venuscozy.com
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
原発に対するテロについて
from 御言葉をください2
タコな話の数々
from ミクロネシアの小さな島・ヤッ..

ライフログ

検索

ブログパーツ

外部リンク

ファン

ブログジャンル

画像一覧