この期に及んで、まだ子供だましの姑息な手段で汚染水流出の影響を小さく見せようとする東京電力の幼児性
8月23日に経済産業省の汚染水処理対策委員会が開催された(これだけ騒ぎになっているのに、今年4月の第一回から数えてまだ開催回数は5回目というところがすごい)。
資料がやっと公表されたので、まず東京電力の汚染水流出についての報告資料(資料2-1)からチェックしみたところ、あっと驚いた。
資料2-1 東京電力(株)福島第一原子力発電所汚染水の現状と対策(PDF形式:868KB)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/130823/130823_01d.pdf
この資料のp.2で、東京電力は「港湾内(シルトフェンス外側)・港湾境界付近における海水の放射性物質濃度はほぼ検出値限界未満」といかにも安全ですと言いたげの文章を載せている。
しかし、実際のその下の図を見ると、港湾内の放射性物質濃度は、トリチウムこそ検出限界値未満や一桁台(Bq/l)であるものの、全βのデータは以下の通り非常に高い。
全β
港湾口 69 Bq/l(8月19日採取)
港湾内南側 79 Bq/l(8月19日採取)
港湾内東側 74 Bq/l (8月19日採取)
港湾内西側 57 Bq/l (8月19日採取)
港湾内北側 69 Bq/l (8月19日採取)
これらの数値は、「港湾内西側」のデータを除けば、これまで計測された値の中で最も高い値であり、いずれも前回採取値は演出限界値未満であったから、値は大幅に上昇中なのだ。
港湾口 ND(21)Bq/l(8月12日採取)→69 Bq/l(8月19日採取)
港湾内南側 ND(18)Bq/l(8月12日採取)→ 79 Bq/l(8月19日採取)
港湾内東側 ND(18)Bq/l(8月12日採取)→74 Bq/l (8月19日採取)
港湾内西側 ND(18)Bq/l(8月12日採取)→57 Bq/l (8月19日採取)
港湾内北側 ND(21)Bq/l(8月12日採取)→69 Bq/l (8月19日採取)
どう見ても事体の悪化が進行だ。
7月19日にブログでご紹介したとおり、これまでの港湾内海水中のデータで、Bq/lの値で見て全βのおおよそ3割~6割ぐらいを放射性物質のストロンチウム90が占めていることが解っている。
つまり、これらの全βの値からすると、30Bq/l前後のストロンチウム90がこれら港湾内の海水中に含まれるような状況になってきているということだ。
放射性ストロンチウムの海水中の告示濃度限度は30Bq/lであるから、「港湾内の海水中の放射性ストロンチウムが、岸壁から離れた場所においても、告示濃度限度を上回る程度にまで上昇してきた」というのがこのデータの示す正確な情報であり、非常に危機的な事態を示しているのである、
この東京電力の資料は、骨への蓄積があり、放射性セシウムより危険である放射性ストロンチウムの海水中濃度が告示濃度限度を超えて上昇しつつあるという非常に危機的な状態を無視し、ストロンチウムより数段危険性が低い告示濃度限度30,000Bq/lの放射性トリチウムの値が検出限界値未満であることの方だけをとりあげてている。
危機を隠して「まだ安全です」という印象を与えようという意図がこの東京電力の資料2-1からはひしひしと伝ってくる。
前回ブログでご紹介したとおり、国際社会は明らかに福島原発の事故後処理における東京電力の対応能力が限界を超えてきているとみなしており、日本政府だけでなく国際社会全体でこの緊急事態に対応しなければならないというコンセンサスができつつある。
そのような事態のなかで、まだメンツにこだわって危機的な状況を隠ぺいしようとするとは!
東京電力の対応の幼稚性に対しては怒りを通り越して、あきれてものが言えなくなる。
なお、この日(19日)の夕方に東京電力が公表した資料で、港湾内の海水中の放射性トリチウムの値は、19日時点で急上昇しこれまでの最高の値を示していたことが判明し、東京電力の「まだ安全です」との説明根拠は数時間で覆されることとなった。
H3(放射性トリチウム)
港湾口 ND(2.8)Bq/l(8月12日採取)→68 Bq/l(8月19日採取)
港湾内南側 ND(3.4)Bq/l(8月12日採取)→ 60 Bq/l(8月19日採取)
港湾内東側 ND(2.8)Bq/l(8月12日採取)→67 Bq/l (8月19日採取)
港湾内西側 4.8 Bq/l(8月12日採取)→)59 Bq/l (8月19日採取)
港湾内北側 6.5Bq/l(8月12日採取)→52 Bq/l (8月19日採取)
汚染水処理対策委員会(第5回)経済産業省 平成25年8月23日
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/20130823_01.html
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の核種分析結果(東京電力)より
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/index-j.html#anc07
海水の放射能急増、1週間で8~18倍 福島第一の湾内
2013年8月24日 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/national/update/0824/TKY201308230461.html
資料がやっと公表されたので、まず東京電力の汚染水流出についての報告資料(資料2-1)からチェックしみたところ、あっと驚いた。
資料2-1 東京電力(株)福島第一原子力発電所汚染水の現状と対策(PDF形式:868KB)
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/130823/130823_01d.pdf
この資料のp.2で、東京電力は「港湾内(シルトフェンス外側)・港湾境界付近における海水の放射性物質濃度はほぼ検出値限界未満」といかにも安全ですと言いたげの文章を載せている。
しかし、実際のその下の図を見ると、港湾内の放射性物質濃度は、トリチウムこそ検出限界値未満や一桁台(Bq/l)であるものの、全βのデータは以下の通り非常に高い。
全β
港湾口 69 Bq/l(8月19日採取)
港湾内南側 79 Bq/l(8月19日採取)
港湾内東側 74 Bq/l (8月19日採取)
港湾内西側 57 Bq/l (8月19日採取)
港湾内北側 69 Bq/l (8月19日採取)
これらの数値は、「港湾内西側」のデータを除けば、これまで計測された値の中で最も高い値であり、いずれも前回採取値は演出限界値未満であったから、値は大幅に上昇中なのだ。
港湾口 ND(21)Bq/l(8月12日採取)→69 Bq/l(8月19日採取)
港湾内南側 ND(18)Bq/l(8月12日採取)→ 79 Bq/l(8月19日採取)
港湾内東側 ND(18)Bq/l(8月12日採取)→74 Bq/l (8月19日採取)
港湾内西側 ND(18)Bq/l(8月12日採取)→57 Bq/l (8月19日採取)
港湾内北側 ND(21)Bq/l(8月12日採取)→69 Bq/l (8月19日採取)
どう見ても事体の悪化が進行だ。
7月19日にブログでご紹介したとおり、これまでの港湾内海水中のデータで、Bq/lの値で見て全βのおおよそ3割~6割ぐらいを放射性物質のストロンチウム90が占めていることが解っている。
つまり、これらの全βの値からすると、30Bq/l前後のストロンチウム90がこれら港湾内の海水中に含まれるような状況になってきているということだ。
放射性ストロンチウムの海水中の告示濃度限度は30Bq/lであるから、「港湾内の海水中の放射性ストロンチウムが、岸壁から離れた場所においても、告示濃度限度を上回る程度にまで上昇してきた」というのがこのデータの示す正確な情報であり、非常に危機的な事態を示しているのである、
この東京電力の資料は、骨への蓄積があり、放射性セシウムより危険である放射性ストロンチウムの海水中濃度が告示濃度限度を超えて上昇しつつあるという非常に危機的な状態を無視し、ストロンチウムより数段危険性が低い告示濃度限度30,000Bq/lの放射性トリチウムの値が検出限界値未満であることの方だけをとりあげてている。
危機を隠して「まだ安全です」という印象を与えようという意図がこの東京電力の資料2-1からはひしひしと伝ってくる。
前回ブログでご紹介したとおり、国際社会は明らかに福島原発の事故後処理における東京電力の対応能力が限界を超えてきているとみなしており、日本政府だけでなく国際社会全体でこの緊急事態に対応しなければならないというコンセンサスができつつある。
そのような事態のなかで、まだメンツにこだわって危機的な状況を隠ぺいしようとするとは!
東京電力の対応の幼稚性に対しては怒りを通り越して、あきれてものが言えなくなる。
なお、この日(19日)の夕方に東京電力が公表した資料で、港湾内の海水中の放射性トリチウムの値は、19日時点で急上昇しこれまでの最高の値を示していたことが判明し、東京電力の「まだ安全です」との説明根拠は数時間で覆されることとなった。
H3(放射性トリチウム)
港湾口 ND(2.8)Bq/l(8月12日採取)→68 Bq/l(8月19日採取)
港湾内南側 ND(3.4)Bq/l(8月12日採取)→ 60 Bq/l(8月19日採取)
港湾内東側 ND(2.8)Bq/l(8月12日採取)→67 Bq/l (8月19日採取)
港湾内西側 4.8 Bq/l(8月12日採取)→)59 Bq/l (8月19日採取)
港湾内北側 6.5Bq/l(8月12日採取)→52 Bq/l (8月19日採取)
汚染水処理対策委員会(第5回)経済産業省 平成25年8月23日
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/20130823_01.html
福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の核種分析結果(東京電力)より
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/index-j.html#anc07
海水の放射能急増、1週間で8~18倍 福島第一の湾内
2013年8月24日 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/national/update/0824/TKY201308230461.html
by touten2010
| 2013-08-28 06:47
| 放射能汚染水の海水流出
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